Daiを分散型アプリケーションに自分で統合する方法とその理由

December 17, 2020

分散型金融(DeFi)分野で最も利用されている暗号通貨であるDaiステーブルコインは、エコシステムのプロジェクト全体に統合されています。Daiの裏側には、イーサリアム・ブロックチェーン上に構築されているスマートコントラクトの配列である、Makerプロトコルがあります。Makerプロトコルは、分散型で自治組織であるMakerDAOのインフラです。現在、800以上のプロジェクトがDaiを自身のアプリに統合しており、そのうちの多くはMakerの助けを借りずに統合を行っています。DeFiムーブメントが勢いを増し、ユーザーがDaiを自身のプロダクトおよびサービスに自分で統合することがいかに簡単かに気付くにつれて、この数字は増えていくでしょう。

Daiを分散型アプリケーションに統合する理由は?

Daiは、分散型かつオープンソースで構成可能なため、多くのブロックチェーン・プロジェクトの価値観に適合しています。

Daiは分散型でMakerコミュニティが管理している

Daiステーブルコインは、中央組織ではなくユーザーが発行および管理しています。誰でもどこにいても、担保をMaker Vaultに預けることでDaiを発行、または取引所でDaiを購入でき、債務返済国際取引商品およびサービスへの支払い、および手持ちのDaiでDai貯蓄率(DSR)の獲得など、様々な用途でDaiを使用しています。

Daiはオープンソースで簡単に統合できる

Daiのコードはオープンソースであり、無料で誰でも利用可能です。「許可や手助けなしで、誰でも自身のdappにDaiを統合できます。スマートコントラクトの開発者にとって、統合はとても容易です。開発者ではない起業家にとっては、少し複雑かもしれないため、Makerでは、Githubページにある幅広い開発者ガイド、ならびに分かりやすいドキュメンテーションおよびチュートリアルを提供しています。」(※)と、Maker Foundationのビジネス開発代表Greg Dipriscoは言います。

構成可能性により高速なイノベーションおよびボトムアップ型の成長が可能に

Makerプロトコルは、構成可能性(コンポーザビリティ)をもたらしています。構成可能性とは、システムの様々な構成要素が簡単に連携され、あらゆる満足のいく結果を形成するデザインの特徴を指します。構成可能性は、レゴのブロックのようなものだと考えてみてください。開発者はMaker上で構築可能で、既存のdappに新しいdappを素早く作成できます。構成可能性のおかげで、開発者は、Dai、および手持ちのDaiでさらにDaiを得られるDai貯蓄率(DSR)など、Makerプロトコルの他の機能を統合することができます。統合が増えれば増えるほど、Makerコミュニティの関与が積極的になり、Daiの流動性が高まります。

Daiの統合により価値尺度が提供され経済圏が共有される

Daiは、米ドルにソフトペッグされた分散型暗号通貨であるため、dapp内で価値尺度としてしばしば利用されています。例えば、Augurは6月に行われたシステムのアップグレードの一環としてDaiを統合しました。Augurは、イーサリアム上に構築された予測市場dappであり、様々なイベントに賭ける方法を提供しています。

Daiの統合により、Daiゲームイニシアチブの一部のプロジェクトなどでは、以前は存在しなかったであろうインフラが共有できるようになりました。これについてDipriscoは、以下のように述べました。「Forgotten ArtifactsのようなブロックチェーンゲームにDaiを統合した場合、Daiだけでなく経済全体が統合されます。ゲーム開発者の中には、デジタルのパラレルワールドを創造している人もいます。彼らは、ゲーム内経済を望んでいますが、それはとても複雑です。言うならば、アメリカの経済がドル紙幣のやりとりだけに限定され、銀行や投資が存在せず、簡単な商品の交換以外の市場がなくなっているようなものです。しかし、Daiを利用することにより、このようなゲームはDeFiエコシステム全体にアクセスでき、経済圏に接続し、それを共有することができます。」

Daiは人気ゲームForgotten Artifactsに統合されています。(ビデオ作:Reeward.ioのCEO、Simon Kertonegro

Daiの統合を開始

Daiを自身のプロジェクトに統合するには、GithubにあるMakerのDaiトークンガイドをご覧ください。同ページにある追加資料は、開発者の方が、統合のプロセスを開始する前に、Daiトークンコントラクトおよびその機能についてより深く理解するのに役立つでしょう。

Dai貯蓄率などのMakerプロトコルのその他の機能を、より広範囲のユースケースを持つアプリケーションに統合するためのガイドは、MakerのGithubライブラリにあります。

最後に、MakerのGithubドキュメンテーションに加え、開発者の方は、 Dai JavaScript Library (dai.js)を利用して、Makerの技術をJavaScript対応のフロントエンド・ウェブページに統合することもできます。

Maker’s extensive developer library on GitHub helps developers integrate Dai into their decentralized apps.
Makerは、分かりやすいドキュメンテーションおよびチュートリアル、ならびに広範囲の開発者ガイドをGithubページで提供しています。

Daiの統合がDeFiエコシステム拡大に貢献している理由

一般的な貨幣と同様に、Daiの有用性は、幅広く流通しているかどうかにかかっています。「Daiの世界的な普及は不可欠です。世界的な普及は一歩前進であり、それによりエコシステムは、パートナーおよびユースケースを増やしながら発展していくことができます。」とDipriscoは言いました。

Daiのユースケースおよび利点が増していくにつれて、ユーザーの信頼も増し、Daiの統合、普及および発展に繋がっていきます。このコンセプトは、ネットワーク効果として知られています。Daiを統合するプロジェクトが増えるにつれ、Daiに触れる人も増加し、Daiの価値が高まります。それに加え、Daiを統合したdappは、他のレイヤーのソリューションの基盤を作ることになり、それによりユーザーにより多くの選択肢および多様性が提供されます。

Makerの開発者ドキュメンテーション、およびチュートリアルのソースを開示することにより、誰でもMakerの手助けなしに(またはほんの少しの手助けだけで)自身のプロジェクトでDaiを活用できます。Dai統合のさらなる情報については、Makerの開発者ライブラリおよびMakerエコシステムページをご覧ください。

※Makerドキュメンテーションには古い用語も含まれています(例:Maker Vaultではなく債務付担保ポジションまたはCDPと記載)。新規用語は2019年11月に導入されました。詳細はこちらをご覧ください。

【Makerブログのご利用にあたってのご注意事項】
当ブログに掲載されている事項は、MakerおよびDaiに関する一般的な情報の提供のみを目的として作成したものであり、特定の商品又はサービスの勧誘や推奨等を目的としたものではありません。

December 17, 2020