新しいブロックチェーンアプリはどのようにDeFiを使いやすくしているのか

July 2, 2021

暗号通貨愛好家の間で、後に「DeFiの夏」と呼ばれるようになった期間の始まりである昨年6月後半以降、分散型金融(DeFi)の認知が高まっています。かつては暗号通貨に精通している人しか注目していなかったDeFi領域は、瞬く間に広範囲の人々の関心を集めるようになり、急成長しています。今日DeFiは、金融業界、規制機関およびビジネス評論家などの間で、話題となっています。DeFiアプリの使い方を積極的に探っている人も多くいれば、既存金融(TradFi; Traditional Finance)機関のように、注意深くDeFiを監視している組織もあります。一方でDeFi領域の人々は、両者を意識しながら、DeFi利用したい人が、今までよりも容易にDeFiへアクセスし情報を入手できるように試みています。

DeFiが将来広く利用されるであろう理由とその方法

暗号通貨が普及したことにより、ロビンフッド、SoFi、PayPal1、およびPayPal傘下のVenmoなど、いくつかの人気TradFiトレーディングアプリおよびモバイル・ウォレットは、既に多数のデジタル資産を追加しています。暗号通貨に強い関心を示していたTradFi機関は、今度はDeFiに注目するようになりました。このような機関は、DeFiに興味を持つ人々を惹きつけ、強い競争力を維持するために、DeFi機能を自身のアプリへ統合する準備を始めています。しかし、全ての人がそれを待ち焦がれている訳ではありません。

DeFiにおいてユーザーは、TradFiよりも新しく柔軟性の高い方法で、自身の資産を管理できます。DeFiは現在、TradFiほど簡単に理解および利用できる訳ではありませんが、DeFiサービスにはDeFiサービス独自の利点があります。DeFiにまだ課題は残っていますが、それらはこの領域への参入を先延ばしにする理由にはならないでしょう。

最もよく知られているDeFiの利点の一つが、自律性です。実際、DeFiの3つの利点は全て、その分散性に由来しています。

  1. 仲介者や中間者が存在していないため、それに関連した手数料や制限がない。
  2. 資産を自分で管理。ユーザーは、報酬獲得やロックされた暗号通貨を担保にした資金借入など、最良の機会を利用するために、DeFiプロトコル間で資産の移動が可能。
  3. 単一障害点が減少することによるセキュリティの向上。

人々の関心が高まるにつれ、DeFi開発者は既存のアプリを改良し、より使いやすい新規アプリを作成しています。

中央集権的なゲートウェイにより簡易化されるDeFi

ビットコイン黎明期以降、分散型暗号通貨へのアクセスは、主に中央集権型取引所を介して行われてきました。現在、新世代の中央集権型プラットフォームでは、分散型トークンだけでなくDeFiサービスへのアクセスも提供されています。このようなハイブリッド型「CeDeFi」プラットフォームでは、ユーザーは、暗号通貨(ウォレットを介して)、または法定通貨(銀行口座やクレジットカードを介して)を預け入れ、即座かつ簡単に、様々なDeFiサービスへアクセス可能です。

CeDeFiプラットフォームでは、しばしば、借入または貸付のレートをシンプルにすることにより、DeFiの複雑性を解消しています。つまりユーザーは、最良の機会を見つけるために異なるプロトコルを監視し、それらをうまく活用するためにプロトコルの乗り換えを行う必要がなくなります。このプロセスは、CeDeFiプラットフォームの裏側で行われています。さらにCeDeFiサービスでは、ウォレットおよびトランザクションを管理してくれているため、ユーザーがよくある暗号通貨の失敗を犯すリスクが軽減されます。

インターネット上には、異なるCeDeFiプラットフォームに関するレビューや詳細情報がたくさんあります。しかし大まかに言えば、どのCeDeFiプラットフォームも似たようなサービスを提供しているため、同じようなメリットおよびデメリットを抱えています。

メリット:

  • シンプルで自動化されたDeFiへのアクセス
  • ホスト型ウォレット(秘密鍵の管理不要)
  • ほとんどのトランザクションでガス代不要または削減

デメリット:

  • 中央集権的(第三者がアカウントを管理)
  • プラットフォーム間で異なる手数料

中央集権型および分散型のインフラには、どちらもそれぞれに特有のメリットおよびデメリットがあり、多くのユーザーはCeDeFiプラットフォームを使用する際に、上記のトレードオフを理解しています。一方でDeFiの自立性および柔軟性を好み、直接分散型プロトコルに接続しているツールおよびテクノロジーを利用したいと思っている人もいます。

Maker FoundationのCEO、Rune Christensen、およびCeDeFiプラットフォーム「Celsius」の創設者兼CEO、Alex Mashinsky氏が、中央集権型金融vs分散型金融のメリットおよびデメリットを議論しています。

分散型ウォレットとトラストレスなDeFiへのゲートウェイ

多くのモバイル・ウォレットでは、DeFiサービスへの容易なアクセスを提供しています。例えばCoinbaseの委託管理型ウォレットでは、ユーザーは、Coinbaseの取引所アカウントだけだなく、様々な分散型取引所、dappおよびイーサリアム・ブロックチェーンゲームなどへも接続可能です。またモバイル・ウォレットのArgentでも、dapp利用、動的トレーディング機能およびステーキング機能を含む、同様のサービスを提供しています。

デスクトップからDeFiへのアクセスを好むユーザーの間では、MetaMaskが最もよく利用されているゲートウェイとなっています。MetaMaskのブラウザ拡張には、トークン・ウォレットが内蔵されており、これによりMetaMaskは、DeFiプロトコルおよびdapp接続時に普遍的に利用可能な選択肢となりました。 

MetaMaskは広くサポートされており、モバイル版も提供されていますが、他にもdapps接続のオプションが多数存在しています。その中には、ユーザー自身が秘密鍵を保管しておく必要がないものなど、既存のサービスにより近いユーザー体験を提供しているものもあります。

  • ホスト型でありながら委託管理型でないウォレットの一つが、Portisです。ユーザーのコンピュータ上で秘密鍵が作成され、パスワードと共に暗号化されます。そしてその秘密鍵は、Poetisのサーバー上で安全に保管されます。これにより、馴染みのある「ユーザーネームとパスワード」方式でdappにアクセスできるようになります。しかしユーザーがパスワードを失くしてしまった場合、ウォレットの回復はできません。
  • Coinbase Walletでは、Chromeのブラウザ拡張機能が提供されています。この拡張機能はユーザーのウォレットに接続しているため、ユーザーは、安全にデスクトップからdappへアクセスできます。

Users researching how to use DeFi protocols and dapps can choose from a range of different Web3-enabled wallets
Coinbaseのブラウザ拡張機能により、ユーザーはモバイル・ウォレットとdapp用のデスクトップ・インターフェースを接続させ、セキュリティを高めることができます。

今までよりもアクセスしやすくなったDeFi

DeFi利用について学びたい新規参入者にとって、実際に利用を開始し、分散型金融サービスの利点を享受することは、難しくはないでしょう。ユーザーは、自身のニーズおよび快適度に沿って、最適な方法を選択できるようになりました。CeDeFi的アプローチのおかげで、新規ユーザーが最初の一歩を踏み出せるようになった一方、DeFi対応ウォレットを介した、DeFi dappおよびDeFiサービスへの直接的なアクセスに魅力を感じている人もいます。

DeFiについてさらに学ぶには、Rocket.ChatおよびMakerフォーラムで、MakerDAOコミュニティに参加してみてください。

July 2, 2021