ブロックチェーン技術およびMakerプロトコル普及促進の手本になるLinux

December 14, 2020

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ブロックチェーン技術は、従来のシステムに勝るその透明性、セキュリティ、改竄不可能性、および効率性から、金融サービスに革命を起こすと考えられています。分散型金融(DeFi)に馴染みのある人にとっては、ブロックチェーン、およびブロックチェーン上に構築されているオープンソースのDeFiプラットフォームが金融業界にもたらす影響は、とても明確です。一方でその他の人にとっては、現在の、および潜在的な好影響を理解することは、少し難しいかもしれません。

発展途中にあり非常に興味深いテクノロジーであるブロックチェーンは、同時にとても複雑でもあります。しかし、エンドユーザーはその複雑さを心配する必要はありません。ブロックチェーンはインターネットと、その上に構築されている分散型アプリケーション(dapp)はウェブアプリケーションと比較されてきました。多くの人がウェブアプリおよびウェブプラットフォームを、毎日利用しているということを考えてみてください。彼らの多くは、裏でインターネットがどのように機能しているかを考えずに、それらを利用しています。実際、ウェブ技術の成功に特徴的なのは、ユーザーは余計な複雑さに関与する必要がないということです。

それでは、コンピュータ科学の学位なしで、誰でも毎日インターネットで複雑なテクノロジーを取り入れることを可能にしている秘密の要素は、何なのでしょうか?その答えの一つは、目立たないけれども普遍的であるオペレーティングシステム(OS; operating system)、Linuxの中にあるかもしれません。

今までに見たことのない最高のテクノロジー

Linuxとは、WindowsやMacOSなどのより一般的なOSに代わる選択肢を提供している強力なOSです。Linuxは、当初は個人用として1991年に作られましたが1、現在よく知られているようなWindowsやMacOSほど、ユーザーにとっては使いやすいものではありませんでした。しかし、開発者には気に入られ、年月をかけて改善されてきました。Linuxはオープンソースで高度なカスタマイズが可能なため、インターネットに接続されているほぼ全てのものを稼働できます。Linuxは、スマートフォンおよびタブレットから、販売時点管理システムおよび医療機器、さらには世界中の証券取引所に至るまで、様々な所に組み込まれています2

Linuxの成功は、拡張性、効率性、モジュール性、シンプルさ、堅牢性、およびオープンさといった、デザインの中核原則にあります3。Linuxのコミュニティは初めから、オープンソースの重要性、つまり全ての人が便利だと感じたものを他の人へ提供することの重要性に気づいており、分散型かつオープンでピア・レビューが行われた多用途な開発フレームワークが支柱になっている価値観を受け入れていました。ブロックチェーンについての知識がある人には聞き覚えがあるかもしれないこの描写は、Linuxがコミュニティ志向で、新しいユースケースやアプリケーションに対応できるということを示しています。つまり、DeFi用語を借用すると、構成可能性があります。

Linuxのオープンなアプローチおよび構成可能性を利用して、2005年から2016年の間に、1,300以上の企業の14,000人以上の開発者が、カーネルプロジェクトに貢献してきました4。今日、Linuxのコミュニティは、今まで以上に盛り上がっています。開発者は、自身や自身の会社が頼っているソフトウェアの安全性および有用性を向上するために、パッチまたは新規機能の提出に、意欲を燃やし続けています。

オープンソースコードの価値 

ブロックチェーンアプリケーション、とりわけMakerDAOのDaiを含むDeFiアプリケーション(dapp)の人気が増し、将来が有望である理由の一つは、まさしくそれらがLinuxのようにオープンソースだからです。

DeFi分野では、分散型という言葉は、開発者たちがオープンソースコードを使用して作成した、中央機関のコントロールが及ばないブロックチェーン基盤の金融システムを指しています。例えば、単一の中央集権的企業や仲介者ではなく、ユーザーのコミュニティによって管理されている透明なプラットフォームが、十分の分散化されたDeFiプラットフォームだと言えます。分散化の結果、DeFiアプリケーションには単一障害点(それが故障した場合、システム全体の機能を停止させるシステム上の要素)がありません。

Dappの透明性および自由さのおかげで、誰でもコードを確認し改善できるため、私有または公開されていないソースに比べて、セキュリティが向上されます。Linuxであれブロックチェーンであれ、オープンソース技術により、自身のプロジェクトの成長を見ることに直接的関心を持っているユーザー的開発者を含む大勢のグローバルな開発者は、発展および使用を手伝ったプラットフォームを保護および強化することが可能です。 


オープンソースコードにより、開発者はDaiおよびMakerプロトコル上に新しいdappを構築できます。

先例としてのLinux

Linuxの分散型かつオープンな開発モデル、維持および利用方法、その長所、ならびにLinuxが具現化しているムーブメントの価値観は全て、ブロックチェーンおよびDeFiが金融市場を拡大することにより、グローバルな金融市場に進出するための方法を示してくれています。

今日、Linuxが世界中のハードウェアを動かすことができると信頼されているように、DeFiのオープンソースコードもいつの日か、既にLinuxを利用しているシステムも含む世界中の金融システムの原動力になるかもしれません。LinuxおよびDeFiは、必然的に同士となっています。どちらかのオープンシステムが採用され、その利点が実現された場合、もう一つのシステムも統合することは、理にかなっています。

そのような観点から、Linuxは、Makerプロトコルが広範の経済を著しくサポートするにあたり、主要な先例となっています。MakerDAOおよびDaiの裏にあるオープンソース技術および分散化は、個人および企業に大きな価値をもたらします。

DaiはDeFi世界で、オープンにすることの価値の一例を示しています。銀行を持たない人々であっても、誰でも、Daiを利用、貯蓄、および他人へ送付できます。企業の観点から見ると、Microsoftのオープンソース領域への参入の成功は、中央集権組織およびそれらの顧客が、Makerプロトコルのような分散型技術の統合から、どのような恩恵を得られるかについてを示した適切な一例かもしれません。

MicrosoftのCEOであるSatya Nadella氏は、在職中の早い段階で、幅広い普及を促進するオープンソース・プロダクトの価値を認識していました。2015年、彼はオープンソース業界のパートナーと関わりを持ち、プロダクトを構築し、それらをMicrosoftの中核的ビジネスの一環として導入しました5。この決定により最終的には、Microsoftの評価額は約4倍の1兆6000億ドルにも上り6、世界最大企業のAppleと肩を並べています7。 

中央集権型金融(CeFi)サービスがDeFi dappを統合した場合、システム内の単一障害点を減らし、システムをより安全で透明にすることができます。それに加え、DeFi統合の裏にある機能は、金融業界が既に提供している、馴染みのある使いやすいインターフェースの裏に隠すことができます。そのため、顧客に追加の負担を課すことなく、アプリケーションをより効率的に、信頼できるものにすることができます。

さらに、最も素晴らしいこととして、CeFiおよびDeFiの架け橋は既に築かれています。Daiおよび他の暗号通貨対応のデビットカードは、既存のVisaおよびMastercardを利用することで、今日のブロックチェーン技術およびデジタル資産と、従来の決済システムを連携させています。

Maker Foundationのプロダクト・マネージャーDerek Flossmanは、「開発者の観点から見て、Linuxの長所はオープンソース的価値観、および透明かつ協力的な開発にあるため、必然的にブロックチェーンおよびDeFiが世界で普及する方法を示した先例になっています。このような強力なツールが自由に利用できるようになったら、それを止める術はなく、なぜユーザーはコストが高く、安全性の低いプライベートな選択肢ではなく、オープンソースツールを利用したいと思うのか、全ての理由が分かるようになります。」と述べました。

オープンな未来

Linux OSは、現在の金融サービス業界のインフラが、将来どのようにしてブロックチェーン基盤のシステムから恩恵を受ける可能性があるのかについて、説得力のあるロードマップを提供しています。今現在、全ての人が気づかないうちにLinuxを利用しています。この先、Makerプロトコルおよびその他の著名なDeFiプロトコルが、広く利用されるテクノロジーとなり、オープンソース技術によって、人生を変えるような金融アプリを次世代のユーザーへ提供するかもしれません。

MakerDAOの主要なマイルストーン誰がなぜMakerプロトコルを利用するのか、そしてMakerプロトコルはどのようにしてアプリ、サービスおよび組織で構成されているエコシステムに価値を提供しているのかの詳細についてはブログをご覧になり、Makerフォーラムでの会話にぜひご参加ください。

December 14, 2020