オラクルV2と分散化金融フィードの導入

2019年9月6日

先月、Maker Foundationは、複数担保型 Dai(MCD)への道を示すロードマップを発表し、複数担保型 Daiを始動する前に達成しなければならない重要なマイルストーンをリストアップしました。 そのマイルストーンの一つは、オラクルに関連する一連のガバナンス提案の承認です。

オラクルは一般的に、ブロックチェーンの外部からブロックチェーンにデータを送信するメカニズムです。 Makerプロトコルはオラクルを使用して、リアルタイムの資産価格を取得します。この価格は、CDP(担保付債務ポジション)にロックされている担保が十分あるかを判断するために使用されます。

このブログ記事では、オラクルのインフラとガバナンスに対する変更点について紹介していきます。この投稿では、MakerDAOガバナンスコールでのオラクルの提案についての議論の基盤を築くための足がかりを、MKRガバナーへ提供することを目的としています。オラクルの役割は以下のように要約され、いくつかの新しい提案が提出されます。

  1. 分散型金融(DeFi)パートナーをフィード(Feeds)として追加する提案が提出されます。
  2. オラクルチームの役割を作成するためのオラクル・チーム・マンデート提案。この委任によりMKRガバナンスは、オラクルチームにMKRガバナンスの代わりに特定のタスクを実行するよう指示する権限が与えられます。
  3. 段階的な分散化の中で、MKRガバナーのオラクルのインフラ制御を、オラクル・ガバナンス・フレームワークを介して正式化することが提案されます。
  4. Maker Foundationは、オラクルの新しいインセンティブ構造を提案します。

Makerオラクルの進化

2017年12月、単一担保型Daiの導入と同時に、Maker Foundationはイーサリアムのメインネット上で初の分散型オラクルをリリースしました。それ以来、Makerオラクルは広く組織的に採用され、新興の分散型金融エコシステムの成長を促進しています。今日、Maker Foundationは、次世代の分散型オラクルであるオラクルV2の発表ができることを誇りに思います。 オラクルV2は、過去2年間に学んだ教訓を活かして、スケーラビリティ、分散化、復元力、反応時間、およびコストを最適化するためにゼロから構築されました。

分散型金融パートナーフィード

フィードは、オラクルシステムを構成する重要な部分です。フィードとは、現在個人により運営されているボットであり、資産価格をリアルタイムで公開します。公開された価格は、スマートコントラクトで基準価格に計算され、分散アプリケーション(dapp)で使用できるようになります。 MakerDAOフィード・ダッシュボードでは、単一担保型Daiにより使用されるETHとUSDオラクルの価格を構成する14のフィードの価格を示しています。

フィードを運営している個人に関しては、恐喝や脅迫のリスクから個人を守るために、初めから必然的に仮名になっています。ただし、組織がフィードを運営している場合は異なります。組織は、威圧に対して防御力がはるかに高く、悪質な攻撃者に対抗するための資源があり、組織の評判が懸かっています。したがって組織は、身元が公開されると同時に、フィードを運営するための性能が個人よりはるかに高くなっています。仮名フィードの堅牢性を保持しながら、エコシステムにいるステークホルダーの評判から恩恵を受けるという、ハイブリッドモデルが最適であることが非常に明確になりました。

オラクルV2にて新しいフィードを運営する準備ができている最初の企業案

Maker Foundationはこの目標に向けて、現在投票者の承認待ちの、この流れの第一波の組織である0x、dYdX、Set Protocol、およびGnosisが、オラクルV2で新しいフィードを実行する準備ができていること発表でき嬉しく思います。 分散化金融コミュニティ内のリーダーおよびステークホルダーとしての評判の高さに基づいて選ばれました。

Maker Foundationは、幅広いコミュニティサポートとともに、完全に分散化されたオラクルを作るためのこれらの組織の協力に感謝申し上げます。

ガバナンス

MakerDAOオラクルのさらなる分散化のために、オラクルV2のリリースによりMKRガバナンスに重要な変更が導入されます。オラクルのインフラにおける徹底的な所有権と管理において、ガバナンスはより積極的になっていきます。この移行を容易にするために、Maker Foundationは9月5日の公開ガバナンスコールで、MKR保有者(Makerコミュニティの投票者)にいくつかの新しい提案を提出する予定です。この提案は、コミュニティからのフィードバックのリクエストと一緒に、9月9日のMakerDAOフォーラムにて公開されます。承認を受けるためのガバナンスポータルへの提案提出は9月16日に予定されています。

これらの提案のタイトルは次のとおりです。

各提案については、以下で簡単に説明します。

分散化金融パートナーフィード

この提案では、0x、dYdX、Set Protocol、およびGnosisがオラクルV2にフィードとして追加することを提言します。

オラクル・チーム・マンデート(OTM)

オラクル・チーム・マンデートは、オラクルの管理と技術開発を円滑にするために、Maker有権者によって選ばれた権限委譲当事者の責任を定める提案です。 Maker Foundationは、適切な外部オラクルチームが選出されるまで、内部オラクルチームが暫定的にこのポジションを占めることをガバナンスに提案します。 オラクルチームには、投票者の承認なしに変更を実行する特別な権限がないことに注意しなければなりません。オラクルチームは単に提案の作成とガバナンスプロセスのガイドを円滑にするメカニズムしかすぎません。

オラクル・ガバナンス・フレームワーク(OGF)

オラクル・ガバナンス・フレームワークは、オラクルに関するMakerガバナンスの権利と責任を定める提案です。オラクルのインフラを管理するガバナンスプロセスの詳細が明記してある計画書は、ガバナンス・リスク・フレームワークがMakerガバナンスがどのように機能するかのルール定義の方法に似ています。

オラクル・ガバナンス・フレームワークに挙げられているMakerガバナーの責任の一部は次のとおりです。

オラクルに関する責任とガバナンスのプロセスを全て含んだリスト9月9日にMakerDAOフォーラムで公開される提案に盛り込まれています。

オラクルのインセンティブ再構築

Makerプロトコルの核心が根本的に分散化されていることは極めて重要です。これはつまり、中核的構成要素はMakerガバナンスの権限下にあり、それらが回復機能を持ち自律するように、バランスの取れたインセンティブシステムを使って設計されていることを意味しています。オラクルも例外ではありません。 オラクル・ガバナンス・フレームワークを介してオラクルのインフラを制御する権限を自律分散型組織またはDAO(Decentralized Autonomous Organization)に与えることは、最初の一歩にすぎません。

オラクルのインセンティブ再構築の提案では、オラクルのインセンティブシステムの変更を推奨しています。この変更により、MKRトークンエコノミーに影響が出て、Makerガバナンスにさらなる責任を与えます。下の図をご覧ください。

オラクルシステムの中の様々な当事者の関係性

フィードは、自身が提供する価値のあるサービスに対して支払われているため、不正行為を阻止します。現在、支払いはMaker開発基金によって賄われていますが、将来的には、Makerプロトコルによって生成される安定化手数料から調達しようと考えています。上記の図では、MKRトークン保有者からフィードへの価値の移動を表しています。

オラクルV2にはホワイトリストが導入されており、オラクル価格の読み取りが可能なスマートコントラクトのアドレスを含んでいます。これによりMKRトークン保有者はオラクルのインフラを収益化して、オラクル実行のためのコストを回収することができます。

このメカニズムは、データプロデューサー(つまりフィード)とデータコンシューマー(つまりdapps)の間のコミュニケーションを確実に行います。その際に、フィードはMakerプロトコルの担保タイプだけでなく、あらゆる種類の資産価格をサポートするために必要なインセンティブを提供します。

提案されているオラクル・ガバナンス・フレームワークでは、外部組織がオラクルのホワイトリストに適用されるためのガバナンスプロセスを詳しく説明しています。 MakerDAOはイーサリアムエコシステムの成長を支援する上で引き続き主導的役割を果たすべきなので、Maker Foundationは、無料で1年間、誰でもどのオラクルに対してもホワイトリストとして追加されることを可能にする提案を提出します。

ディスカッションへの参加

Maker Foundationは、オラクルの進化とイノベーションの発展に与える影響を目の当たりにしていることを嬉しく思っています。 オラクルV2を用いることで、我々は複数担保Daiに一歩近づきます。オラクルの提案のさらなる詳細については、公開ガバナンスコールフォーラムのディスカッションにご参加ください。


2019年9月6日