分散型金融のガバナンスの行方

2020年5月11日

分散型金融の牽引者およびDeFiコミュニティの一員としてMakerDAOを築き上げているMaker Foundationは、世界中の規制当局や重要な金融機関と積極的に関わりを持ち、そのような組織での分散型金融への理解を深めてきました。

例えば、光栄なことにMakerは、アジア開発銀行が昨年11月に開催したAsia Finance Forumに参加し、Makerプロトコルの学習を通じてアジアの中央銀行のオープン・ファイナンスへの理解に貢献しました。また、Maker Foundation代表者スティーブン・ベッカーは、1月に経済開発協力機構(OECD)が設立した政策諮問委員会のメンバーに選出されました。

このような議論に参加することは、分散型金融コミュニティおよびそれを提供するdappのエコシステムにとって不可欠です。 


アジア開発銀行が主催するアジアファイナンスフォーラムにMakerを代表して、Makerのジョセリン・チャン、グスタフ・アレントフト、そしてキャサリン・チュウが参加しました。

未知の領域

新しいテクノロジーによって私たちは、ソフトウェア・コードでルールが実行されるという未知の領域に足を踏み入れました。科学で使用されている数学的説明と同様に、ブロックチェーン技術の発達によってそれまでは想像にも及ばなかった程の信頼が生み出されました。ブロックチェーン技術によって、ユーザーからの信用において欠けていた部分である信頼の形が変えられ、私たちの進歩が可能になります。ブロックチェーン技術と書かれたコードを実行するイーサリアム・スマートコントラクトが組み合わさることで、強力な実行および執行ツールが作成され、分散型金融が誕生しました。

分散型金融では仲介者が取り除かれ、管理権が直接個々の手に委ねられています。ピア・ツー・ピアのトランザクションによってユーザーの自由が増え、時間が節約され、コストが削減されます。

このように新しいテクノロジーが出現すると、私たちはこれまでの統治および管理方法について再考するようになります。 

個々のオンラインでの生活が監視および利益のために搾取されている監視資本主義で大手テクノロジー企業が繁栄し優位を保っている中、新しいテクノロジーの過剰な、または不十分な規制によって、経済的不平等が悪化し、所得格差がさらに拡大する可能性があり、リスクが高くなっています。一方で顔認証カメラや自動運転車と並んで分散型金融などの新しいテクノロジーの管理が不十分な場合、潜在的に個人の福祉や富が損なわれる可能性があります。抱えている課題に対して正しいアプローチをしていかないと、貧困や人権侵害などの社会的問題の悪用や悪化に繋がり、将来的に経済や政治が不安定になる可能性があります。

ステークホルダーの声

日本の金融庁による国際ネットワーク、Blockchain Governance Initiative Network(BGIN)設立の支援など、明るい兆候も見えてきました。BGINはインターネットのオープン標準の展開に使用されているのと同じ方法であるオープン・プロセスを採用し、Internet Engineering Task Force(IETF)が通った道を辿っています。BGINは研究者、政策立案者、開発者、ユーザーおよび企業を含む多様なブロックチェーン・ステークホルダーが、ブロックチェーン・エコシステムでのさらなる持続可能な発展のための様々な問題点や提言を議論できるオープン・プラットフォームとして機能しています。 

BGINによって日本金融庁のような規制機関が、オープン・ファイナンスでイノベーションと規制機関の目的の折り合いをつけるためにはどうすればよいかを学ぶことができ、規制への新たなアプローチの機会が実現されます。BGINの貢献者には、アイルランド財務省金融顧問代表マイ・サンタマリア氏もいます。

金融の将来の形成

ブロックチェーンおよび分散型金融システムは社会の発展にとって便利なツールになりうると、日本金融庁長官遠藤俊英氏はBGINが発足した際の会議で語っています。彼はまた、最善の結果を得るために規制当局は一歩離れてこのような議論に参加し、マルチステークホルダーの一員として寄与していくべきだと話しました。

異なる立場からの議論を聞いて個人が意思決定を行う民主主義のように、分散型金融に関する課題、機会および決定事項に関しては多様な意見が表明されるべきです。私たちは皆、金融の将来の形成の一翼を担っています。           

これこそが、Maker Foundationが熱心に分散型金融で規制当局および世界中の国際金融機関と専門知識を共有しようとしている理由です。Maker Foundationはこれからもこのような取り組みをし続け、ぜひ皆さんにBGINでの議論に参加してもらいたいと思っています。


マニラのアジア開発銀行本部で中央銀行、金融および融資サービス・プロバイダーの聴衆の前でDaiがどのように機能するかについて説明するMakerのグスタフ・アレントフト。

真のDAOへ向けてMakerが進む道

見方によってはBGINは、真の分散型組織の実現というMakerコミュニティの目標と類似しています。Makerガバナンス・コールでは、Makerプロトコルのリスク測定および現在のDaiのドルへのペッグ状況についての議論が開始されます。この議論はMakerフォーラムへと引き継がれ、Makerガバナンスがリスク管理とペッグ維持の最善方法を決定するガバナンス投票およびエグゼクティブ投票に繋がっていきます。 Makerコミュニティは集団として、コミュニティがMakerDAOとMakerプロトコルにとって最善のことをしてくれると信頼することで、真の公平な通貨Daiを作り出している最中です。

大規模な協力の必要性

インターネット・ガバナンスのグローバル委員会の一員であるピンダー・ウォン氏は先述の会議において、この取り組みを綺麗にまとめてくれました。「言葉による規則である法律と同様に、数字による規則である金融システムが確立されました。私たちには今、これらの規則を実行できるテクノロジーがあります。私たち人間がどのようにしてさらに大きな規模で協力していくかを学ぶ必要があります。」とBGINの貢献者である彼は言いました。

テクノロジーの発展とその領域に境界線はありません。イノベーションを受け入れながら自分たちの政策をより効果的にするためには、新しいアプローチを取り、これからの世代に安心して残していけるような金融包括的かつ公平な社会を協力して作り上げていかなければなりません。


2020年5月11日