新しいブロックチェーンアプリはどのようにDeFiを使いやすくしているのか
July 2, 2021
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2015年にMakerDAOが発表されて以来、Makerはイーサリアム・ブロックチェーン上の分散型金融(DeFi)で、最大級かつ最も人気のプロジェクトの一つにまで成長しました。Daiステーブルコインは、Makerプロトコルで発行、または様々な取引所で購入でき、今日世界中で使用および信頼されています。しかし、Daiには多くの利点があり、Maker Foundationおよびコミュニティ・メンバーがこのプロジェクトについて、たくさんの教育的情報を発信しているにもかかわらず、Daiにまつわる誤解は、まだ存在しています。単純な誤解の場合もありますが、誤った思い込みも存在しています。
以下では、最もよく見られる7つの俗説を詳しく取り上げます。
アルゴベースコインやシニョリッジ型コインとも呼ばれているアルゴリズムを基盤にしたコインは、担保に裏付けられていません。その代わり、このようなコインは、オンチェーンのアルゴリズムを使用して、市況に応じてトークン供給量を増加または減少させる、もしくはトークンを売買するなどして、トークン価格を目標価格とペッグしています。
Daiは、米ドルにソフトペッグされており、多様な暗号通貨担保資産のポートフォリオに裏付けられています。複数担保型Daiが2019年11月にリリースされた際に、MakerプロトコルおよびDaiは次の段階に入り、より強力でありながら柔軟性の高い通貨を稼働するために、さらに頑丈になったプラットフォームの提供を開始しました。
Daiでは、需給に影響を与えるアルゴリズムではなく、イーサリアム・スマートコントラクト、分散型価格フィード、およびMakerガバナンス・コミュニティを頼りに、そのソフトペッグを維持しています。そのためDaiは、分散型としての特徴を持つ、担保型のステーブルコインです。
USDC、USDT、TUSDおよびPAXなどの中央集権型トークンを利用してDaiを発行できるということは事実ですが、これらの担保資産は、Daiが分散型ではないということを意味するものではありません。明確に言えば、その反対も本当です。ETHやその他の分散型担保資産を利用してDaiが発行されたとしても、今以上に分散的になることはありません。
Daiが分散型なのは、Daiには個人のトークンの管理権を有する中央集権機関が存在せず(ユーザーは自身のDaiに対して完全な管理権を作成および掌握できます)、分散的なMKR有権者のグループが投票ポータルで投票し、Makerプロトコルを管理しているからです。
さらに、MakerDAOは自治組織です。Makerコミュニティは、多様な担保資産を承認することで、単一の資産がプロトコル全体の脅威にならないようにしています。それに加え、Makerガバナンスには、債務上限、清算率および安定化手数料などの適切なリスクパラメータを、資産毎に設定するという役割もあります。MakerDAOのリスクチームは、DAOが担保資産に関する進捗を確認できるように、週毎の分析結果を提供しています。
コミュニティ主導の多様化へのこのような取り組み、およびリスクマネジメントこそが、Daiの分散性を維持しています。
法定通貨と同様に、ステーブルコインにも様々な種類があります。そして国の通貨と同じで、このようなステーブルコインの中には、その特徴的な性質のおかげで、世界の特定の地域で他のステーブルコインよりも広く利用されているものもあります。
ステーブルコインには様々なブロックチェーンが利用され、多様なアプローチ方法で米ドルや他の国の通貨にペッグしています。分散型のものもあれば、中央集権型のものもあります。さらに、それぞれのステーブルコインでは、異なる機能が提供されています。例えば、Daiは分散型かつ透明で構成可能です。そのため、誰でもどこにいても様々な用途で利用でき、他の分散型アプリケーション(dapp)に簡単に統合できます。TUSDなどの中央集権型ステーブルコインは、分散型のものよりも発行元が制限をかける(例:あるアドレスをブラックリストに載せるなど)可能性がありますが、米ドルとのペッグがより正確でもあります。さらに、プロモーション、統合、または重複など(例:CircleとCoinbaseのUSDC)により、特定のプラットフォームで内で普及しているステーブルコインもあります。これらは全てステーブルコインのネットワーク効果に繋がり、ステーブルコイン間の流動的な市場の円滑化が促進され、それにより暗号通貨領域を全体で資本が自由に動くようになります。
Makerガバナンスは、ステーブルコインが多様であることの利点を認識しているため、複数の異なるステーブルコインを担保タイプとして承認しており、それぞれがDai発行での追加ツールとして機能しています。
暗号通貨および従来の金融市場のトレーダーは、米ドルの価値低下に懸念を抱くこともあります。
他の通貨と同様に、米ドルはインフレに陥る可能性がありますが、ドルが世界の基軸通貨であることに変わりはなく、その一貫した強さを物語っています。例えば、Daiがラテンアメリカで人気を博したのも、インフレの影響を受けやすい現地通貨と比較して米ドルが安定しているからです。とはいえ、DAOは将来様々なDaiを作成することも視野に入れています。
Daiを含む全てのステーブルコインは、公開市場でトレードされるため、目標価格である1ドル前後で、ある程度価格が変動します。しかし、Daiが他のよく知られたステーブルコインから一線を画している理由は、その設計にあります。中央組織に管理されているステーブルコインとは異なり、Daiには中央集権的発行元や管理者が存在せず、銀行口座にある米ドルに裏付けられているわけでもありません。Daiはその代わり、ユーザーがイーサリアム・ブロックチェーン上の他のデジタル資産を担保に発行している暗号通貨です。その価値は需給に基づいた市場メカニズムから発生しており、Makerガバナンスが設定した様々な金銭的パラメータに影響されています。 Makerコミュニティの目標は、Daiが平均して1ドル前後で取引されることです。そのため、Daiのソフトペッグはバグではなく、むしろそのような機能なのです。
米ドル自体もソフトペッグされています。米ドルは、連邦準備銀行の金融政策によって維持され、ドルを価値尺度として利用する商品およびサービスにペッグされています。そのため、私たちが購入する商品やサービスの値段が高くなった場合、ドルのペッグが下降に転じ、連邦政府は金利を上げることで価格を安定させます。このアプローチは、MakerガバナンスのDaiの価格変動への対応と類似しています。
DaiステーブルコインはUSDにソフトペッグされているため、イーサやビットコインなどの他の暗号通貨のようなボラティリティがありません。
Makerガバナンスは、各担保タイプのMaker Vaultの安定化手数料(SF; Stability Fee)を調整することで、Daiのペッグ維持に貢献しています。Daiのトレードが1ドル以下で行われている時は、SFを引き上げます。(手数料が高いと、Vault所有者には、発行したDaiの債務を返済するためにDaiを公開市場で購入するインセンティブが与えられます。)Daiが1ドル以上でトレードされているときは、Dai発行コストが下がるように、SFが引き下げられます。しかし、このような調整は、Vault所有者にゆっくりで段階的な影響しか与えないため、コミュニティが望んだ結果に至るには、時間がかかる可能性があります。
Dai発行に必要なSFは累積していくため、Vault所有者は発行したDaiの利用方法に応じて、別々のタイミングでアクションを取ると考えられます。結論としては、SF調整はVault所有者の行動に影響を与えると考えられ、通常はDaiの価格を1ドルに近づけます。
DeFi分野の発展により、Makerプロトコルの関心および価値が急上昇しました。Daiは構成可能であるため、多くのDeFiプロトコルに統合されています。構成可能性によって商品の迅速なイテレーションが可能になり、それによってボトムアップ型の成長が実現されます。しかし、DaiにはDeFi世界以外での利点もあります。Daiには様々な用途がありますが、主に以下の5つの分野で利用されています。
Daiの多様な用途については、こちらをご覧ください。
アーティストのCarlos Marcial作「Art Is the Currency of the Infinite」は、2020年9月に、Daiでオークションにかけられました。
オープンかつ透明で構成可能というDaiの性質により、Daiは最も幅広く利用されている分散型ステーブルコインとなり、広範囲の分野および地域のアプリケーションで活用されています。
DaiおよびMakerプロトコル開発の最新情報に乗り遅れないようにするには、Makerブログをブックマークし、コミュニティ活動のハブであり、MakerプロトコルおよびMakerガバナンスに関する詳細なディスカッションのスタート地点でもあるMakerDAOフォーラムで、議論に参加してみてください。