MKRトークン管理権の移行:最終段階

April 17, 2020

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3月25日Maker Foundationは、Makerガバナンス・コミュニティへのMKRトークンの管理権移行が完了したことを発表しました。MKRトークン・コントラクトは現在、100%MKR有権者の管理下にあります。MKR有権者がコントラクトを完全に管理するようになったので、分散型ガバナンスが、MKRトークンに付与された権限を変更する唯一の手段となりました。

この移行は、MKR債務オークションの直後に行われました。MKR債務オークションは、市場活動によりプロトコルに債務が蓄積された後の資本を再構成するために機能するだけでなく、個人的に利害関係のある分散型金融への積極的関与の体現でもあります。Makerコミュニティは、困難な状況に迅速に決断力を持って対応し、自身の資産を自身の情熱に注ぎ込みました。

最も重要なこととして、自律的DAOの管理においてコミュニティが、さらに大きく差し迫った役割を受け持っているので、MKRトークンの管理権の移行は、システムの完全な分散化に向けた最新かつこれまでで最も重要なステップでした。

MKRトークン管理権移行への道のり

MKRトークン・コントラクトの保護は、初日からMaker Foundationおよびその前任者の責任でした。元々Foundationは、複数担保型Dai(MCD)のローンチが成功したのちに、MKR管理権の分散型ガバナンスへの移行を開始する予定でした。そのため、MCDのリリースからわずか1ヶ月後の12月20日に、ブログ記事が公開され、MKRトークン・コントラクトの権限をMakerガバナンスに移すまでの手順が概説され、健全なMakerプロトコルに対するMKRの重要性全般が詳述されました。その日、MKRトークンの管理権がMakerプロトコルの権限を管理するコントラクトに、つまりMaker投票コミュニティに譲渡されました。それ移行Foundationは、譲渡が確実に成功するように、コントラクトと共同で管理権を所有してきました。3月25日、この責任の共有が終了しました。 

「今日のニュースは極めて重要です。MKRトークン・コントラクトをMKR有権者に移行するという責任を完了することで、Maker Foundationは、完全に自律したMakerDAOに向けて進化し続けることができます。」とMaker FoundationのCEO、ルーン・クリステンセンは言いました。「そして、これはまだ始まったばかりです。今後数週間、数ヶ月後の完全なる分散化に向けたコミュニティ準備を引き続き行なっていきます。」と続けました。

The transfer of MKR Token control from the Foundation to governance is now complete.

技術面の詳細

今日に至るまでの移行の過程に、3つの段階がありました。

  1. 2020年1月10日、 MkrAuthorityコントラクトをイーサリアム・メインネット上でデプロイ。
  2. 同日2020年1月10日、デプロイヤーがガバナンス・レイヤーのDSPauseProxyをMkrAuthorityのルートとして設定。
  3. 2020年1月13日、Maker Foundationのマルチシグがトークン権限のアドレスをMkrAuthorityのアドレスに設定。

3月25日に、マルチシグを使用してMKRトークンの所有権を0x0アドレスに設定し、最後のステップが完了しました。つまりこれは、トークンのパーミッションは全て、以前可決されたコントラクト(MkrAuthority)を介してMakerガバナンスが管理し、MkrAuthorityが現在MKRトークンの権限を持っていることを意味しています。このMkrAuthorityとは、以下のコントラクトへのMKRトークンのアクセスを許可するスマートコントラクトです。

  • 債務オークションのスマートコントラクト(債務オークションの最後にMKRを発行)
  • 余剰オークションのスマートコントラクト(余剰オークションの最後にMKRをバーン)
  • バーナーコントラクト(SCDの安定化手数料を支払うために使われたMKRをバーン)
  • ガバナンスコントラクト、またはDS Chief(将来のMKRコントラクトへのパーミッションの変更を管理)

新しい権限と責任

Makerエコシステムの成長とDeFi(分散型金融)ムーブメントの発展には、力強く積極的で熱心なガバナンス・コミュニティが不可欠です。完全な分散化ができるかどうかは、今コミュニティの管理下にあるMKRトークンの保護だけでなく、中核的ガバナンスの目標に対するコミュニティの献身にかかっています。

簡単に言えば、コミュニティはこれからも深く関与し、賢くそして頻繁に投票を行っていかなければなりません。投票者が無関心でいると、選出プロセスを脅かすことになりかねない上に、プロジェクトの分散化に対する取り組みにも害を及ぼす可能性があります。コミュニティの十分な熱意と善意の参加がなければ、コミュニティ管理のシステムは脆弱になり成功が難しくなるでしょう。

「熱心に参加してくれていることで有名なコミュニティなら、自身の新たな権限を受け入れ、ガバナンス・プロセスで新規のMKR有権者の教育の手助けをしてくれると確信しています。」とクリステンセンは述べました。彼はまた「分散型ガバナンスの成功とMakerプロジェクトの未来のためには、一丸となった取り組みが必要不可欠です。」とも言いました。

ゴールはすぐそこに

今回のMaker FoundationからMakerガバナンス・コミュニティへのMKRトークンの管理権の移行は、完全なる分散化に向けた大きなステップの一つでした。しかし、分散化への道のりにはまだまだやるべきことがたくさんあります。今後数ヶ月間にわたり、Foundationは自律的DAOに向けたコミュニティ準備を引き続き行なっていきます。その間、投票ウォレットおよびMKRトークンFAQなどを含む投票者オンボーディングガイドをAwseome MakerDAOでご覧ください。

April 17, 2020