Daiはどのようにしてラテンアメリカで人気の暗号通貨になったのか

2020年7月22日

ラテンアメリカの人々は、早い段階から暗号通貨の重要性に気付いていました。経済的苦境、ハイパーインフレおよび資本規制に直面し、2015年に経済状況が悪化した際には、中南米全域の多くの人がビットコインに頼り始めました。供給量が限られていて耐検閲性があるビットコインは非常に魅力的でした。しかしボラティリティが高いため、信頼できる日常的な価値の保存手段にはなれませんでした。

ラテンアメリカの人々のとって真に安全な避難通貨は米ドルです。とは言っても、米ドルの購入は難しいこともあります。そのため、ここで登場するのがMakerDAOのDaiステーブルコインです。Daiは、イーサリアム・ネットワーク上に構築されていてスマートコントラクトおよび分散型価格フィードシステムが基盤となっており、米ドルとのソフトペッグを維持するように設計されています。ここ2年間で、ビットコインのようなボラティリティのないDaiおよびその他の「暗号通貨ドル」が、ラテンアメリカ中、特にブラジル、コロンビア、ベネズエラおよびアルゼンチンで人気を博しています。

In Latin America, the popularity of Maker’s Dai stablecoin is outpacing other crypto.

ラテンアメリカの暗号通貨ドル

ラテンアメリカでの暗号通貨の普及状況は、以前から強力なものでした。この地域は1980年代の債務危機を受けたインフレにひどく見舞われ、自国通貨の収拾がついた国がある 一方で、以下のような新たな問題に直面した国もありました。

このように市民の貯蓄の価値を守る安定した通貨の必要性が明確になっている中で、魅力的な価値保存手段として、Daiが台頭してきました。

Maker Foundationのラテンアメリカ・コミュニティ代表者のマリアノ・ディ・ピエトラントニオ、および同地域のビジネス開発アソシエイトのナディア・アルバレスは二人とも、ブエノス・アイレスを拠点としています。この二人は、アルゼンチン、さらにはもっと広範囲に渡るDaiの認知および使用に関する活動の先頭に立っています。

「2年前、ラテンアメリカはビットコインに興味があっただけでした。そのため、Daiの魅力を理解してもらい、Daiはどのように他とは異なっているのかを一から説明することは難しかったです。しかし今、暗号通貨にはラテンアメリカで主流となる魅力があり、たくさんの支持者を獲得しました。暗号通貨は、それに精通した人々やトレーダーだけでなく、ほぼ全ての人に受け入れられています。Daiはハイパーインフレを生き抜くための素晴らしいツールです。これこそが、私たちの最初のメッセージでした。」とアルバレスは言いました。

それ以降Daiは、デジタルドルとしてラテンアメリカで魅力的な貯蓄手段となりました。「ラテンアメリカでの暗号通貨の普及が進んでいるのは、現実的で有用な目的にかなっているからです。貯蓄の価値を理解するために、暗号通貨を理解する必要はありません。」とディ・ピエロラントニオは説明します。

Maker’s Nadia Alvarez, co-moderated a panel discussion on decentralization and crypto in Latin America.
昨年の夏、メキシコ、メキシコシティのBlockchain Summit Latamで分散化についてのパネル・ディスカッションの共同司会を務めるMakerのナディア・アルバレス。

草の根運動の結果アルゼンチンで広くトレードされているDai

経済と通貨価値の暴落を引き起こしたコロナウイルスのパンデミック以前から 、アルゼンチンではDaiの勢いが着実に増していました。今日ではDaiへの関心が爆発的に高まり、隔離が課される以前は500万ドルだったトレード量が、5月上旬までにはその4倍の2000万ドルにも上りました。2020年初めには、ラテンアメリカでDaiを提供している取引所は1つしかありませんでしたが、現在ではそれが6つになりました。Daiは2年前までアルゼンチンでほとんど知られていなかったことを考えると、信じられないほどの支持を集めました。これは目覚ましい功績です。

「多くのラテンアメリカの人々は、現地通貨を信頼していないのでドルを欲しがっています。しかし、ドルへのアクセスを規制している政府も存在します。ベネズエラおよびアルゼンチン両国では、資本規制が強いられています。アルゼンチンでは、市民は最大で月$200しか購入することができません。」とアルバレスは説明しました。

資本規制が逆説的に、自国通貨の価値をさらに損なわせることになりました。「政府でさえ自身の通貨が保有するに値しないと考えているというシグナルを送っています。これによって信頼が損なわれ、さらなる売却へと繋がり、悪循環になっています。」と彼女は付け加えます。

Daiは、とりわけアルゼンチンで、少なくとも個人にとっての人気の価値貯蔵手段となりました。「一般的には店舗がDaiを受け付けていないので、まだDaiは食料品店などでの日常的な購入には利用されてはいません。しかし人々は自身の貯蓄をDaiで保有し、そのDaiを必要に応じて現地通貨に両替しています。」とディ・ピエトラントニオは言います。

ピア・ツー・ピアのエコシステム

暗号通貨取引所およびBistoBuenbit(アルゼンチンの大手Dai取引所)などの法定通貨オンランプ・オフランプの人気がラテンアメリカ中で高まり、Daiの月々の取引量は現在急増しています。Argentのようなユーザーが使いやすいモバイル・ウォレットのおかげで、参入への障壁が低くなり出先でのトレードが簡単になりました。このことは、確実にDai普及に貢献してくれました。

アルバレスとディ・ピエトラントニオは、Telegramおよびその他のソーシャルメディア・チャンネルで草の根グループを構築し、活発なピア・ツー・ピアのトレード環境を促進するために尽力してきました。

「このようなグループ内には、たくさんの情熱とボリュームがあります。」とディ・ピアトラントニオは言います。「人々は、直接および銀行振込を利用するなどして、様々な方法でDaiをトレードしています。スタートはゆっくりでしたが、 信頼性向上のためにユーザーが互いにKarmaポイントで報奨を与えることのできるシステムを、地域内のTelegramコミュニティでローンチして以降、一気に軌道に乗りました。」と彼は話します。 

アルバレスおよびディ・ピエトラントニオ、 ならびに大きな打撃を受けた地域に住み、Daiに大いに頼っているMaker Foundationの従業員のおかげで、Makerコミュニティはラテンアメリカで大規模なものになりました。昨年、アルゼンチンに住んでいるMaker Foundationのスマートコントラクト代表マリアノ・コンティは、日本の大阪で開かれたDevcon5にて、Daiで給料を受け取ることでどのようにして高インフレの国で生き抜いているのかについて語りました。「Daiはより優れた暗号通貨です。Daiは暗号通貨の全ての利点を有していますが、私たちにとって本当に価値のある通貨にペッグされています。」と彼はオーディエンスに伝えました。

Daiがどのようにアルゼンチンでの彼の財務的実態を変えたのか、さらに発展途上国で苦しんでいる他の人の人生をどのように変容できるのかについて説明しているMakerのマリアノ・コンティ。

マリアノは、Makerプロトコルの「試験運用」をし、2017年にSaiがローンチされた時にはSaiで給料が支払われた最初の人の一人です。彼はそれ以降Sai、その次にはDaiで給料を受け取っています。

ピア・ツー・ピアのDaiのトレード・コミュニティは、様々な通貨に対してDaiを上場していている取引所、ソーシャルメディア・グループでの価格が確実により広い市場とリンクされるようにしているトレーダー、取引所間で同じ価格の維持に一役買っているアービトラージャー、およびサービスや情報のサポートを提供しているその他の人々によって支えられていて、これらの数は増加し続けています。「オンライン上の暗号通貨取引所が増え、コミュニティが開発した、アービトラージの機会を提供しているウェブサイトが増加しているのを、私たちは目にしてきました。これは、ドルに対する市場の流動性確保の役に立っています」とディ・ピエトラントニオは言いました。

善い行いで成功する

金融報道機関およびその他のオピニオン・リーダーの間で、DaiおよびDai貯蓄率(DSR)に関する議論が増えてきています。マリアノは「Daiはアルゼンチンでいい印象を持たれています。その結果、ラテンアメリカ全体が恩恵を受けています。」と言いました。

Juventus forward Paulo Dybala helped to raise Dai for Covid-19 relief in Latin America.

これに関する最新の例として、COVID-19対策の資金を集めるために先月開催された、オンラインのFIFAチャンピオンシップのLa Champlayがあります。このイベントは、ユヴェントスのフォワード、パウロ・ディバラとプロテニスプレーヤーのディエゴ・シュワルツマンがSatoshiTango、アルゼンチン赤十字、MakerDAOおよびLVP(Video Game Players League)と共同で企画しました。

La ChamplayはTwitchとFacebookで世界中に生中継され、その後ラテンアメリカ最大の主流スポーツメディアのケーブルチャンネルが放送しました。視聴者はDaiで寄付することができたので、Daiにとってのショーケースの場でもありました。このトーナメントでは、初めてアルゼンチンの赤十字が暗号通貨の寄付を受け入れました。

安定性の追求

ハイパーインフレと広範囲に渡る通貨切り下げに直面して、ラテンアメリカでは暗号通貨を受け入れるようになりました。Daiの主流派としての普及は現実的なニーズによって駆り立てられていて、Daiは簡単なドルの価値貯蔵方法を提供しています。

Makerエコシステム内でDaiをどのように利用できるのか、是非探ってみましょう。

2020年7月22日