新しいブロックチェーンアプリはどのようにDeFiを使いやすくしているのか
July 2, 2021
ブロックチェーン技術が革命的であることに疑いはありません。ナカモト・サトシが2008年に世界に向けてビットコインおよびその背後にあるブロックチェーン技術を公表した時、彼は根本的な分散化金融(DeFi)システム、つまり第三者の仲介なしでユーザーがオンラインでピア・ツー・ピアのトランザクションを行える初のシステムを発表しました。しかし、ビットコインおよびブロックチェーン技術は既存の価値を打ち砕くようなものであると分かったにもかかわらず、それらはまだ現在の中央集権型金融(CeFi)システムに取って代わるものではありません。その代わり、過去12年間にわたって、ブロックチェーン上に構築された暗号通貨が従来の構造の進化に貢献しました。
現在、グローバル金融システムは、拡張することで進化を続けています。そして、オープンかつ透明でフレームワークがコンポーザブル(構成可能)なMakerプロトコルは、一見異なるこれら二つのシステムを繋ぐ理想的な架け橋を提供しています。
新しいイノベーションは、一連の段階的な変化の中で、既存のテクノロジー上に構築されることが多いです。例えば、1792年の貨幣法以来、米ドルは様々な形(金および銀に裏付けられた硬貨や紙の不換紙幣など)で存在してきました。USDにソフトペッグされているDaiステーブルコインは、時代や個人のニーズにより適した暗号通貨です。
他の通貨の中でも存在感のあるDai
分散型で国境や境界線がないDaiは、世界初の公平な暗号通貨で、場所や金融履歴に関係なく、世界中のユーザーに自身の資産の管理権、高度の透明性、および向上された利便性を提供しています。
企業や機関は、自身の既存の商品やサービスにブロックチェーン技術を取り入れ、ブロックチェーン技術が根本的に提供している利点を目の当たりにしています。Wirexのような新参フィンテック企業は特に、既存の金融市場の観点から見たDaiの利点に気づいています。そしてこの気づきこそが、DeFiおよび既存の経済と新しいテクノロジーの融合を生み出しています。
これは仮説上の未来ではありません。今現在起こっていることです。
「Makerコミュニティは、Makerプロトコルを現実世界に取り入れるプロセスを既に開始しました。」とMaker Foundation CEOのルーン・クリステンセンは説明します。彼はまた、「増え続けている担保資産リストにUSDCステーブルコインを追加したことは、Makerガバナンスが中央集権型金融と分散型金融の間にあるギャップを埋めるために、規制下にある大規模なプレーヤー(例:Circle)のツールと連携していることを示すよい一例です。 さらにもう一つの例として、Makerの分散型ガバナンス・コミュニティは、現実世界資産のシステムへの追加を検討することを投票で決定し、現在は次の段階である追加される可能性のある資産の技術的評価を行う段階に向かっています。」と言いました。
DeFiは、アプリケーションの構成可能インフラから機能性および消費者利益に至るまで、金融サービス業界に変化をもたらしています。しかし、そのような変化は革命や代替でなく、拡張によってもたらされています。
構成可能性は、開発者がMakerプロトコル上に新しいdappを構築および作成できることを意味しています。
DaiはDeFiムーブメントの中で強力な役割を果たし、人々および企業の資金の扱い方を変容させています。Daiステーブルコインには、従来の通貨に勝る利点がいくつかあり、問題を解決すると同時に機会を創造しています。
従来の金融サービスおよび暗号通貨は、進化し一つに結集されてきています。例えば、Daiは、暗号通貨デビットカードのような規制下にある従来の決済レールに、垣根なく組み込まれています。
慣習的な金融業界とDeFiの架け橋であるMakerプロトコル
しかし、このような進歩に対して大きな疑問が浮かんできます。DeFiの基本的価値の支柱である分散化を損なうことなくさらに深く現実世界に融合し、法制度、法的機関および規制下の発行元に準拠して運営を行うには、どうしたらよいでしょうか?その答えは、Makerプロトコルです。
「Makerプロトコルは、リスクマネジメントおよび担保資産を分散させることによって、これを正しく行っています。」とルーンは言います。「融合を成功させるには、現実世界の資産を一つの資産やカストディアンにだけ頼るのではなく、むしろ世界中の様々な市場に分散しているいくつもの資産やカストディアンに頼るべきです。」と彼は続けました。
これはもちろん、ブロックチェーン構造に非常によく似ています。ブロックチェーンでは、地理的に複数の場所に広がっている多数の異なるノードや取引場所が存在することで、分散化が図られています。
最も重要なことに、新しいソリューションでは、ユーザーは自身の資産をより一層管理できるようになりました。新しいフィンテック商品は、ブロックチェーンおよびその他の技術を利用し、既存のシステムを置き換えることなくそれらに利点を加えて提供することで、驚異的な成長を可能にしています。
暗号通貨およびブロックチェーン技術は、既に主流の消費者金融業を変えています。例えばSquareのCashアプリでは、ビットコインおよび株式へ円滑にアクセスできます。他のユーザーへの送付だけでなく、暗号通貨と他の資産間で価値の移転が簡単にできます。
このような新規サービスは、テクノロジーに精通したミレニアル世代をターゲットにしていることが多いです。ミレニアル世代は、彼らの親世代が享受していた不動産などの投資収益機会の多くを得られませんでした。そのため多くのミレニアル世代は学資ローンを抱え、それによって不動産市場に介入できなくなっています。ミレニアル世代はまた、以前の世代よりも株式市場に対して用心深くなっています。RaizやRobinhoodなどのアプリでは、簡単で低コストかつゲーム化された投資方法が提供されています。同様にブラジルのNubankでは、より優れたサービスや貯蓄に対する利益を提供することで、従来型の機関に挑戦しています。
分散型プロトコルおよび分散型アプリケーションは、このような幅広い開発にうまく適合していて、高度の透明性と開示性を可能にし、コストと参入障壁を引き下げています。ブロックチェーンおよびその他の技術が新しく進化している金融商品およびサービスに組み込まれていくにつれて、消費者への権限委任がさらに進み、それによってさらなる自律性および柔軟性が高まることが期待されています。
しかし、二つの非常に異なるシステムを融合させることで、CeFiがDeFiプロトコルに中央集権的影響を与えるかもしれないというリスクが生じる可能性もあります。Makerプロトコルは、分散化された構造のMakerDAOガバナンスを通じて、この課題に取り組んでいます。
ルーンは「MKR有権者は、一つの担保資産が過度に支配力を持たないようにしています。MKR有権者にはDai保有者よりも集権化のリスクが伴っています。それに加え、全てのMakerガバナンスの決定は透明で、Makerフォーラムや毎週のMakerガバナンス・ミーティングなどのオンラインのフォーラムでコミュニティによって完全に精査されています。そのため、分散型の基本原則が蔑ろにされるリスクがある際には、常にそれをはっきりとさせなければいけません…」と語ります。
ブロックチェーン技術およびDeFiと従来の金融サービス部門の融合によって、世界的なイノベーションが推進され、消費者に優れた管理権、透明性および選択肢がもたらされています。そしてDaiおよびMakerプロトコルは、このムーブメントの中心に位置しています。
DeFiの道のりを始めるには、MakerDAOおよびMakerプロトコルについてご覧になってみてください。