DeFiコミュニティの学習・関与方法
July 7, 2021
イーサリアムでトランザクションを実行する際、一般的にユーザーは、暗号学に基づいて発行されたアドレスを利用しています。このようなアドレスは、長ったらしい一連の英数字で構成されているため、読み取りが難しく、記憶することはほぼ不可能です。この問題を解決してくれるのが、オープンソースかつコミュニティ所有の、非営利ブロックチェーン・ネームサービスであるEthereum Naming Service(ENS)です。ENSは、ユーザーの暗号通貨に対する懸念解消にも役立ちます。
ウェブユーザーが、ドメイン・ネーム・サービス(DNS; Domain Name Service)を利用し、読みやすいドメインネームを登録することにより、数字でできたIP(Internet Protocol)アドレスを置換しているのと同様に、ブロックチェーン・ユーザーも、冗長なイーサリアム・アドレスを、ENSに登録した短く覚えやすいネームに変更できます。もうアドレスをコピー&ペーストしなくてもよくなるのだと、想像してみてください。
ENSでのネーム登録は簡単で、ENSでは、分散型金融アプリケーション(dapp)やその他のユーザーと関わる際に、利便性およびより優れたセキュリティを享受できるという利点を、あらゆる人へ提供しています。
イーサリアム上にあるアドレスは全て、ブロックチェーン・アカウントの識別子として機能しており、各アドレスではネーム付けおよびその登録が可能です。全てのネームは唯一無二で、登録者のみがそのネームを所有できるため、各ネームは非代替性トークン(NFT; Non-Fungible Token)の形で表されています。NFTとは、主にデジタルアートやコレクティブル世界で知られているデジタル資産です。NFTとして登録されたネームにより真正性が証明されるだけでなく、NFT所有者に対しては、収益化という利点も提供されています(下記参照)。
ENSを介することにより、ユーザーは暗号通貨アドレスを、より読み取りやすいネームに変更可能です。
イーサリアム・メインネット上におけるENSレコードの拡張子は、元来「.eth」(例:ethereum.eth)となっています。テストネット上の開発者は、.testの拡張子も利用可能です。ENSは、DNSで所有されているネームでも利用可能です。
ネームの所有者は、サブドメインの作成ができます。これにより複数のユーザー(例:john.defiservices.eth、jane.defiservices.eth)や、複数のユースケース(例:accounting.defiservices.eth、support.defiservices.eth)を、各ドメインで作成可能です。ネーム所有者はまた、所有権を保持したまま、他のユーザーへレコードの管理権を譲渡できます1。さらに特定のURL、ソーシャルメディアのプロフィール、アバターおよびキーワードなどを識別する、公的にアクセス可能な「テキスト・レコード」の作成もできます。このような機能によりユーザーは、誰でも検索可能かつ、Web3サービスのアクセスをサポートしているコンタクト情報を、安全に保存できるようになります。これだけでなく、ネームの所有者が登録したネーム保持しながらリンク先のアドレスを変更したい場合、それも可能です。
ENS運営代表Brantly Millegan氏のテキスト・レコード
このようなことからThe Ethereum Naming Serviceは、単にイーサリアムのためのサービスではなく、イーサリアム上に構築されている幅広いWeb3サービスと言えるでしょう。
ENSでのネーム予約および登録は、誰でも数分でできます。執筆時点では、約5文字の.ethネームの1年間の費用はETHで5ドルです。これに加え、イーサリアムのガス代も必要になります。より希少性の高い3文字または4文字のネームの場合は、さらに高価になります。登録者から収集した手数料は、コミュニティが管理しているマルチシグ・アカウントに保管されており、ENSエコシステム内におけるプロジェクト開発のために、今後利用される可能性があります2。
以下の動画では、ENSのBrantly Millegan氏が、ネーム登録プロセスを順を追って説明しています。
ネームが登録されると、そのネームは、Coinbase、MetaMaskおよびUniswapなど、ENS規格が統合されているウォレット、dappまたはブラウザなどで利用可能です。
ENSは、以下のような多数の利点を提供しています。
ENSドメインはOpenSeaのようなNFT市場で売買可能です。
冗長で覚えづらいイーサリアム・アドレスを覚えやすいネームに置き換えることにより、トランザクション体験が簡易化され、ブロックチェーン技術へのアクセスがより楽しいものになります。ENSや同様の取り組みを統合するDeFiサービスが増えるにつれ、Web3はよりユーザーに親しみやすいものへと変容してきています。
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