Makerガバナンス、ETH・WBTC担保でLiquidation 2.0の統合を可決
June 17, 2021
こちらのブログは、Makerの三部作、「投票知識をつける(Informed Voting)」シリーズの最終章であり、MakerDAOガバナンスのコミュニティ投票をサポートするのに最適なツールを取り上げています。復習:パート1およびパート2
MakerDAOのグローバルなガバナンス・コミュニティは、Daiと米ドルのソフトペッグ維持、およびMakerプロトコルの堅牢性保護に不可欠となっています。毎週MKR有権者は、定期的なガバナンス・サイクルの一環として、ガバナンス調査およびエグゼクティブ投票に参加しています。MKR有権者は、Dai発行および価格維持、ならびにMakerプロトコルの様々な側面に関する最新情報を提供している複数のリソースを、投票の意思決定に役立てることができます。
「投票知識をつける」シリーズの第一章、MakerDAOガバナンスの意思決定をサポートする4つの重要ツールでは、Maker投票の背景を紐解くリソースについて詳細に説明しました。第二章のDai市場を分析するための4つのリソースでは、取引所情報を集約し、MakerコミュニティがDaiの監視に役立てている、コミュニティ開発のウェブサイトを取り上げました。今回の最終章では、Makerプロトコルの担保リザーブおよびVault清算に関する情報を提供しているリソースを見ていきましょう。
先月Makerガバナンスが承認したばかりの最新清算システムは、ユーザーがMaker Vaultで発行した全てのDaiにおいて、必要な担保レベルを維持することを目的としています。Makerプロトコルでは、過剰担保により、Daiと米ドルのソフトペッグを維持しています。Vaultの担保価値が、Makerガバナンスが設定した最低ラインを下回ってしまった場合、担保オークションを開催することにより、債務および清算ペナルティ(こちらもガバナンスにより設定)の両方をカバーします。
Liquidations 2.0は、以前のバージョンよりも容易に利用でき、効率的かつ安全になるように設計されています。これにより、より多くの人がオークションに参加できるようになるでしょう。
ブロックチェーンの透明性のおかげで、Makerプロトコルに関する多量の情報が、公に入手可能です。しかしプロトコルの健全性に関するデータは、そのままでは必ずしも理解が容易でないため、視覚的に分かりやすい有益な情報を提供するリソースが、いくつか作成されました。
1. @MakerDaiBot
「投票知識をつける」シリーズの第一章にも掲載した@MakerDaiBotでは、Makerプロトコルに関する統計を要約し、リアルタイムでツイートしています。このボットは、現在行われている清算だけでなく、Dai発行およびバーンのリアルタイム情報も発信しています。
@MakerDaiBotでは、清算された全てのVault、および開始された担保オークションに関する情報が投稿されています。
Descipher.ioとは、コミュニティが作成したウェブサイトであり、プロトコルにおける、各担保資産に対するDai発行量に関する情報を表示しています。このサイトでは、担保の現在の市場価格、および集約されたMaker Vaultの担保率(CR; Collateralization Ratios)を基に、情報を提供しています。
Descipher.ioでは、異なる担保率のDai発行量などを示しています。
ユーザーは、ページトップのドロップダウン・メニューから資産を選択し、有益な情報を得ることができます。左側のグラフでは、現在異なるCRにあるDaiの量を示しています。右側のグラフでは、担保価格が下落した場合に、清算で回収すべきDaiの額を表しています。グラフの下にある表では、選択した担保タイプのVault全てを、大きさ順に表示しています。
MakerVaults.descipher.ioは、担保価格が下落し大きなVaultの清算が起こった場合に、特にリスクの高い領域を予測できる、強力なツールです。
3. Daistats
「投票知識をつける」シリーズの第一章でも紹介したDaistatsには、Makerプロトコルの様々な異なる側面に関する情報が豊富に含まれており、こちらもよく利用されているリソースとなっています。Daistatsには、Liquidations 2.0統合以降の全ての担保タイプで起こったVault清算数も含まれています。さらなる詳細については、Dai Statsガイドをご覧ください。
Daistatsでは、各担保タイプのオークション数を記録しています。
4. Liquidations 2.0ユーザー・インターフェース
Makerの担保オークションにダッチ・オークション方式を取り入れた、最新の清算システムは、Maker Vaultの清算をより効率的にし、ユーザーのアクセスが容易になるよう意図されています。
Liquidations 2.0のインターフェースには、進行中の担保オークションが全て掲載されているため、ユーザーは現在の清算状況を確認し、MetaMaskを利用することによりオークション中の担保を購入できます。ダッチ・オークション方式では、入札額が吊り上がるのではなく、減少していきます。つまり、最初の入札額を提示した人が落札者となります。
Dai価格が安定性を維持できるかどうかは、Makerガバナンスが十分な担保率を維持し、プロトコルが効率的に清算を進められるかどうかに懸かっています。Makerの新規清算システムは、Daiの需要が高まるにつれ、オークションの規模を拡大できるように設計されています。このおかげで全てのDaiが十分に担保され、Makerプロトコルが急速に拡大するDeFi領域での需要に応えられるようになります。
オンチェーンのガバナンス調査で今後の開発に関するコンセンサスが形成され、エグゼクティブ投票の最終的な結果が、プロトコルに変更を加えます。誰でもMakerの公開ガバナンス・プロセスに参加可能です。このようなガバナンスは全てMakerフォーラムから開始しており、フォーラムでは、プロトコルの全側面も非公式(拘束力のない)調査もカバーした議論が行われています。