分散型台帳技術と信頼革命

2020年6月11日

2008年の金融危機で、多くの人は大手金融サービス企業への信用を失いました。概して銀行はそれ以降、かつては手にしていた消費者の信頼の再度獲得に苦しんでいます。実際、2018年のAmerican Bankerの記事によると、金融危機後10年間で消費者の銀行への信頼は回復したものの、未だに以前の信用度をはるかに下回ったままです。この記事の筆者は、「一般の人々は銀行、とりわけ銀行を運営している側の人間に対して懐疑的なままである。」と結論づけました。

金融機関は信頼を得る方法の一つとして、透明性を取り入れることができます。投資の意思決定プロセス、運営および方針に関した情報を完全に公開することは、心配している人々を安心させることに非常に役立ちます。しかし、最大手金融機関はそのようなことをしてくれるのでしょうか?もししてくれるとしても、どの程度までしてくれるのでしょうか?個人情報保護方針の透明性を提供することもありますが、それとは別に金融サービス企業が公への「帳簿の開示」に果たして同意するのでしょうか?

金融サービス企業がどのような方法で長期的な信用問題に取り組もうと、完全な透明性の提供をサポートするテクノロジーはもう既に存在しています。このテクノロジーは分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology; DLT)と呼ばれています。MakerDAOのような組織はこの方法で、ブロックチェーン技術を利用して分散型金融(DeFi)を取り入れ消費者の信頼を築いています

分散型台帳技術が組織の信頼を築く方法

2008年サトシ・ナカモト(仮名)が、今では有名なホワイトペーパーBitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash Systemを執筆および公開しました。この中で筆者は、クリプトグラフィー(暗号学)が金融危機によって提起された信用問題への解決策であると指摘しました。ナカモトは「必要なのは信用ではなく、暗号学的証明に基づいた電子取引システムであり、これにより信用の置ける第三者を介さずに、利用者間の直接取引が可能となる。」と書いています。

第三者の必要性を取り除くことは、分散型金融システムが行っていることで、ブロックチェーン技術が提供しているものそのものです。しかし分散型台帳技術はどの場面で登場するのでしょうか?

非常に簡単な形式の分散型台帳でさえ台帳は、古来会計およびビジネスの信頼構築の中心にありました。粘土でできた台帳から紙の台帳およびデジタル記録管理方式に至るまで、取引情報の記録、保管および共有の概念に変化はあまりありませんでした。しかしブロックチェーン形式の台帳の分散の実現によって初めて、それに変化がもたらされました。

DLTとブロックチェーンは同じものではなく、ブロックチェーンはデジタル台帳の一種です。ブロックチェーン形式のDLTによって、ある組織の台帳はノードと呼ばれる広範のネットワーク中に中で分散(共有され)、各ノードは全く同じ情報を持っています。全ての台帳の取引はチェーンに追加され認証されることで、透明かつ追跡可能で全ての人がアクセスできる監査証跡が効果的に作られます。ほとんどの場合、トランザクションの修正も不可能です。ブロックチェーンの再編またはフォークの時のみ、いくつかの最新ブロックを置き換えることができます。

さらに最も重要なことに、DLTは多くの場合分散型(単一の個人や組織がデータを管理しているわけではない)ので、「トラストレス(信用不要)」です。つまり、信用しなければならない中央権力が存在しません。セキュリティに関しても、ソフトウェア・コード、複雑な暗号化およびデジタル署名によってほぼ保証されています。これらのそれぞれの要因の結果、DLTによって消費者の信用およびビジネスの成功に不可欠なレベルの信頼が作り出されます。

Distributed ledger technology builds trust by making  transactions public
イーサリアム・ブロックチェーンの分散型台帳のトランザクションの一例

コードが規則ーコードの信用

ブロックチェーンでは、信用はシステムのルールおよびソフトウェア・コードに内在しているので、信用を獲得したり作り出す必要はありません。ブロックチェーン分散型台帳技術は、パーミッションに基づいたシステムではありません。それを稼働するコードは数学的に証明され、信用への基盤を提供しています。コードがデプロイされると、それを停止できる単一の個人や組織は存在しません。「コードが規則」という原則には人的エラーや破損の可能性がほとんど残されていませんが、分散型台帳技術の可能性は、システムコードをスマートコントラクトなどの他のプログラムのアプリケーションと組み合わせることによってのみ実現されます。 

Distributed ledger technology is powered by open-source smart contract code.
MakerのDai貯蓄率スマートコントラクト・コードの一例

スマートコントラクトが解き放つイーサリアム・ブロックチェーンの力

スマートコントラクトとは、あるネットワーク内で特定のアクションやルールを実行するコンピュータ・プログラムです。スマートコントラクトは、本質的には中央権力ではなくコードに応答し、約束を守ります。スマートコントラクトは、悪質なアクターの脅威軽減に役立つので、より誠実で責任感を持った倫理的な組織の運営を促進し、消費者の信頼を向上させます。

イーサリアムはオープンソースのブロックチェーン・プラットフォームです。イーサリアムではスマートコントラクトの機能を受け入れているだけではなく、開発者は自身でプログラムを書き(自身のスマートコントラクトを書くなど)、既存のプラットフォーム上に新しい分散型アプリケーション(dapp)を作成できます。なのでスマートコントラクトは、新しい解決策や企業の成功、そして最も重要なことに消費者の信頼の向上のための基礎的要素です。

現在、イーサリアムのユーザーから最も注目を集めているdappは、分散型金融(DeFi)アプリケーションです。DeFiアプリケーションとは誰もが質の高い金融サービスに平等にアクセスできるようにするプログラムのことです。Makerプロトコルは、ユーザーが(ユーザー単独で)イーサリアム・ブロックチェーン上で最も人気な最初の分散型ステーブルコインDaiを発行できるソフトウェアで、最も利用されているDeFiアプリです。トラストレスな金融ソリューションおよび安定した暗号通貨として、Daiは送金(特にハイパーインフレに苦しんでいる地域で)やその他の多数の目的において、暗号通貨のボラティリティ回避のために、世界中で商品やサービスの支払い方法として利用されています。

分散型台帳技術と経済的信頼の未来

人々はDLTの可能性に気づき始めたばかりです。しかし、テクノロジーによって消費者と大手銀行の関係性から不信感が取り除かれ、その不信感を信用と誠実さに置き換えることが潜在的に可能であることは、既に知られています。 

MakerDAOではDLTを使用し、当初から暗号通貨コミュニティを熱狂させてきました。完全に分散化されていて、オープンソースでコミュニティ管理の金融システムを構築し続けることで、世界中で金融的エンパワーメントと経済的自律を体験できる人が増えていきます。  

MakerDAOのさらなる詳細については、Makerフォーラムの会話にぜひ参加してみてください

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2020年6月11日