単一担保型Dai(Sai)シャットダウンガイド

2020年4月21日

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当ブログに掲載されている事項は、MakerおよびDaiに関する一般的な情報の提供のみを目的として作成したものであり、特定の商品又はサービスの勧誘や推奨等を目的としたものではありません。

単一担保型Dai(Sai)システムのシャットダウンは、昨年11月に単一担保型Dai(SCD)から複数担保型Dai(MCD)へのアップグレードのタイムラインで初めて正式に議論されて以来、コミュニティが予期してきたイベントです。多くのコミュニティのメンバーが既にシャットダウンを見越して手持ちのSaiをDaiに移行し、MCDの優れた機能を利用しています。さらに、Makerコミュニティでは最近、SCDシャットダウンや緊急時シャットダウン(ES)のプロセス全般についてのディスカッションが活発化しています。

これらのディスカッションの結果、3月30日にガバナンス投票が開始され、コミュニティは4月24日にエグゼクティブ投票を行い、SCDシステムのシャットダウンを開始することへの支持を投票最終日の4月6日に示しました。 4月17日から24日までの間にコミュニティは、SCDが完全にシャットダウンするまでの猶予期間を決定します。猶予期間の詳細については、情報が入り次第Makerフォーラムで共有していきます。

それまでの間、単一担保型Daiと複数担保型DaiのESが引き起こされた場合、それぞれがどのように展開されるかについて確認したい人がたくさんいるでしょう。それらを学びたいと思っている人もいるはずです。SCDのESとMCDのESでは、プロセスが異なります。

単一担保型DaiシステムのESの重大性と誤情報による混乱を考慮して、Maker FoundationはSai保有者とCDP所有者に向けて以下のFAQ形式のガイドをまとめました。Dai保有者やMaker Vault所有者の方は、新しいMCD緊急時シャットダウン・ドキュメンテーションでMCDシステムでのES情報をご覧になれます。

単一担保型Dai(Sai)緊急時シャットダウンについてよくある質問

以下の質問および回答は、SCDの緊急時シャットダウンが発動時にどう展開するのかについて、Makerコミュニティ様々な人の理解に役立つでしょう。また、 SCDのESを深く掘り下げた情報や、様々なステークホルダーに関連するプロセスの詳細な説明を提供する技術的ドキュメンテーションが、数日以内に公開される予定です。 

緊急時シャットダウンに関するお知らせは、MakerDAOフォーラム、ウェブサイトおよびソーシャルメディア・チャンネルで発表されます。MakerブログTwitterRedditRocket.chatTelegramおよび Weiboを今すぐブックマークに追加することをおすすめします。

1)単一担保型Dai緊急時シャットダウンとは?

単一担保型Dai緊急時シャットダウンでは、全てのユーザー、つまりSai保有者とCDP所有者の両方が、システムに担保としてロックされている純資産価値を確実に受け取れるようにしながら、SCDシステムを停止し決済を完了させます。

2)誰が何のために緊急時シャットダウンを引き起こしますか?

緊急時シャットダウンは、MKR投票者がシステムが危険に曝されている、またはシステムを終了させるべきだと感じた場合にガバナンスを通じて発動されます。後者に関してシステムを終了させるのは、システムを新しいバージョンへアップデートするため、または今回の場合にはMCDに向けてプロトコルを停止するためです。

緊急事態においては、ESを使用することでSaiの目標価格(1 Sai=1 USD)がSaiおよびCDP保有者対して直接的に執行され、そして根本的にシステムの基幹インフラへのさらなる攻撃からシステムを保護します。緊急事態の例としては以下のものがありますが、これら以外のものも存在します。

  • SCDシステム攻撃
  • セキュリティ侵害
  • エコシステム内のSaiの流動性不足
  • 市況によりガバナンスが二つのステーブルコイン・システムおよび二つのステーブルコインのペッグを管理することが困難な場合

3)まだSaiからDaiに移行していません。その場合緊急時シャットダウンはどう影響しますか?

migrate.makerdao.comでのSaiからDaiへの架け橋は閉鎖されたため、Sai保有者はES発動前に、まだ開いている市場(例:UniswapKyberなどの取引所)でのSaiからDaiへのトレードを検討してみてください。ES発動後にもSaiを保有しているユーザーは、Maker Foundationが作成する緊急時シャットダウン償還インターフェースを介して、担保を回収することができます。

4) まだCDPからMCDのMaker Vaultに移行していません。その場合緊急時シャットダウンはどう影響しますか?

CDP所有者は、移行ポータルを介して自身のCDPをMCDのMaker Vaultへ移行することを、できるだけ早急に検討すべきです。以下の略図では、CDPの移行の流れを説明しています。

代替案として、CDP所有者は債務を返済してETHのロックを解除することで自身のCDPを手動で閉鎖し、そのETHを担保として使用して新しくMCDのVaultを開設することもできます。

CDPからMCDへの移行の流れを説明している略図

ユーザーがES発動前に自身のCDPを移行できなかった場合は、ユーザーは担保請求が処理されるまでは自身の担保のロックを解除できません。6時間に設定されている現在の待機期間(冷却期間)は、(スマートコントラクト内に)事前にプログラムされた期間であり、その期間内にはオンチェーンの演算と資金移動が含まれています。この6時間の待機期間では、未払い債務があるCDPの清算を可能にすることと、PETH/WETH比率を正常に戻す(元の比率に戻す)ことを目的としています。担保処理にかかる時間はネットワーク速度に左右されるため、予測不可能です。

5)まだPETHからWETHに変換していません。その場合緊急時シャットダウンはどう影響しますか?

現在PETHを保有している場合には、PETHをWETH(ラップドETH)に変換し、そのWETHをETHに変換することを検討してください。

ESが発動されるとたちどころにPETH比率が低下し、その後CDP請求が処理されると上昇します。6時間の冷却期間を設けることで、WETHをPETHに変換するまでに十分な数のCDPを処理する時間が与えられます。これによってPETH比率が正常に戻されます。

6)単一担保型Daiの緊急時シャットダウンのプロセスとは?

緊急時シャットダウンには3つの段階があります。

ステップ1:緊急時シャットダウンが引き起こされ、CDP所有者は資産を引き出す

ESによりCDP作成が即座に停止され、既存のCDPの操作ができなくなり、固定値で価格フィードが凍結されます。この固定値は後に、全てのユーザーの相応分の担保請求の処理に使用されます。(価格フィードは多数の外部情報源での担保タイプの参考価格を監視し、最新価格をブロックチェーンに提供しています。)

ESが引き起こされた瞬間から、CDPユーザーは自身の正味価値に相当する分のPETHをCDPから引き出すことができます。しかし、その時点ではまだPETHをWETHに償還することはできません。シャットダウン前に自身のウォレットでPETHを保有しているユーザーも同様です。

ステップ2:担保請求が処理される

ES発動後の6時間の冷却期間を設けることで、全てのCDP所有者の相応分の担保請求の処理が可能になります。この冷却期間はガバナンスで変更が可能です。

ステップ3:CDP所有者が担保を請求する

冷却期間が終了すると、CDP所有者は自身のCDPでの一定の量のETHを請求することができます。一方でSai所有者は、ES発動時に即座に自身の担保請求にアクセス可能です。なお直接請求できるETHの量は、算出された資産価値に相応しています。

7)単一担保型Dai(Sai)の緊急時シャットダウンは複数担保型Daiに影響しますか?

SCDのシャットダウン発動時にMCDシステムにSaiが預けられていない限り、MCDへの影響はありません。SCDのシャットダウン後にMCDシステムにSaiがある場合、そのSaiはETHに対する債権となり、MKRガバナンスはETHの価格変動幅によっては、Saiのコントラクトを空にするためにさらなる措置を講じなければならない可能性もあります。

8)複数担保型Daiの緊急時シャットダウンは、単一担保型Dai(Sai)のESとどう違いますか?

Saiはもう使われなくなったSCDシステムで管理されている一方、MCDは現在はMakerプロトコルとして知られているMCDシステムで管理されているので、SCDとMCDのシャットダウンのプロセスはそれぞれ異なります。

SCDでもMCDでもシャットダウンのプロセスは完全に分散化されていて、MKR投票者によって管理されていますが、MCDではMKR有権者はMKRを緊急時シャットダウン・コントラクトに預けることで、即座にシャットダウンを発動できます。しかしそのためには、大多数ではなくとも相当数のMKR投票者の定足数が必要です。当初、この定足数に達するには50,000MKRが必要で、そのMKRは即座にバーンされます。50,000MKRの定足数に達すると、シャットダウン・プロセスが開始されます。安全性をさらに高めるために、MKR投票者は緊急時シャットダウンを一歩的に発動する権限のある緊急時オラクルを選定することもできます。

さらにMCDでは、ES発動中にはVault所有者がDAI保有者よりも優先度が高いです。これはつまり、システムの債務が余剰分より多い場合には、DAI保有者の資産価値が目減りするということです。(詳細についてはこちらこちらをご覧ください。)反対に言えば、システムの余剰分が債務より多い場合には、Dai保有者はDaiと引き換えにより多くの担保を受け取ることができます。

SCDでは、Sai保有者は担保を即座に引き出すことができますが、CDP所有者は6時間の冷却期間が終わるまで待たなければならず、(PETHの価値引き下げによる)価値低下に直面するかもしれません。

差異の詳細については、技術的ドキュメンテーションで説明しています。

探究

MakerDAOとMCDのさらなる詳細についてはMakerブログをご覧ください。そしてMakerフォーラムでの会話にぜひご参加ください。

2020年4月21日