完全な分散化後Makerガバナンスはどうなるのか

2020年4月15日

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Maker Foundationは現在、完全なる分散化後のMakerプロトコルの管理が行えるように、投票コミュニティを用意するための取り組みを継続して行っています。投票コミュニティがMakerプロジェクト全体の管理を行うことは、Foundation解散後のMakerプロトコルの長期的な安全性と持続可能性を確実にする唯一の方法です。プロジェクトから全ての中央集権的障害点を継続的に取り除くことが不可欠になってきます。

そのため、Foundationは今後3ヶ月にわたって、毎週の公開科学的ガバナンスおよびリスクコールMakerガバナンスフォーラムにて、完全なる分散化への準備に関する重要なディスカッションを開始します。これらのディスカッションでは、自律的DAOで重要な3つの要素、すなわち技術的、人的および手続き的要素に焦点を当てていきます。これにより、コミュニティはプロトコルの完全な分散化を維持することができ、この3つの要素がDAOで全ての面において全ての責任を負うことになります。

  1. 被選出有給貢献者(Elected Paid Contributors; EPC)とドメイン・チーム
  2. Maker改善提案(Maker Improvement Proposals; MIP)
  3. 投票代理人

各要素の大まかな概要は以下のとおりです。詳細についてはこちらのMakerフォーラムの投稿に記載されています。4月6日月曜日にMaker Foundationは13の最初のMIPを発表しました。発表についてはこちらのブログを、MIPについてはMakerフォーラムをご覧ください。

自律的DAOの重要要素

Maker Foundationの解散は、時間をかけて行われます。しかし、ガバナンス・コミュニティが同意しさえすれば、Makerプロトコルの完全な分散化の維持に使用されるであろう3つの重要要素を導入し、分散化への準備を今すぐにでも開始します。この重要要素を今まとめることで、コミュニティは、Maker Foundationが一線から退くはるか前の段階から、それら要素についての議論、投票さらには改良の準備をすることができます。

長期的ガバナンスの重要性

Makerプロトコルが将来にわたって効果的に機能するために、コミュニティは明確に定義されたガバナンス・プロセスを熟知し、それを備えていなければなりません。そのためには、必要に応じて現在の貢献者が新規の貢献者と知識を共有し、包括的なドキュメントを作成し、現在のガバナンス・プラットフォームの技術に磨きをかけ、新しい技術を構築するシステムが必要になってきます。コミュニティが、ガバナンスを支えプロトコルの安全性を維持しているシステムの完全なる管理権を得た際には、明確なプロセスと実際の経験がとりわけ重要になってきます。

1. 被選出有給貢献者(Elected Paid Contributors; EPC)

プロトコルとガバナンス管理のルールはスマートコントラクトが執行していますが、DAOでは人間の知識や専門的知見にも同様に頼っていかなければなりません。Foundationがその活動を縮小していくにつれて、Makerガバナンスが選出した分散型の人員のサポートが増えていきます。被選出有給貢献者と呼ばれるこの働き手は、透明性と上下関係のない横のつながりが徹底した組織形態で運営され、ガバナンスを通じて直接報酬が支払われます。EPCには、経験豊富なデベロッパー、セキュリティ・コンサルタント、法律顧問、マーケティングおよびコミュニケーション専門家、人事および会計チーム、ならびにその他の重要な役割が含まれますそれに加え、ドメイン・チームと呼ばれるEPCの一部が、重要なプロセスの管理に必要になると想定しています。実際に昨年 、Makerコミュニティは、暫定リスクチームや暫定オラクルチームなど、Makerプロトコルの管理を行うドメイン・チームを複数選出しました。

2. Maker改善提案(Maker Improvement Proposals; MIP)

他のブロックチェーン改善提案(BIPEIP等)と同様に、MIPでは重要な問題を明確にするためおよびシステムへの変更と追加事項を提案するためのメカニズムを、全てのコミュニティメンバーに提供します。BIPのいくつかとは異なり、MIPは、現在のMakerガバナンスプロセスの進化に欠かせないものであり、そのため、一切の曖昧さを避けるために厳密に構造化および形式化されなければなりません。Foundationが議論のきっかけを作り最初のMIPの草案を作成する間に、コミュニティはそれに競合するMIPを提案することができます。最終決定はMKR有権者によって下されます。MIPの目的は、これから将来にわたって必要と状況に応じて、明確で透明なフレームワークを提供し、それによってMakerガバナンスのプロトコルへの適応とプロトコルの進化を可能にすることです。最初の13のMIPが何を対象にしているかについては、こちらのForumのポストをご覧ください。

3. 投票代理人

コミュニティが担う役割がより大きくなるので、全てのMKR有権者のエコシステムへの積極的な関与が、今までよりも重要になります。投票代理人を導入することで、MKR有権者であれば誰でも自身の議決権と他者の議決権を共同で保有することができ、それによってプロジェクトでの管理権と所有権が拡大し、ガバナンスの分散化がさらに進みます。

代理人は、直接投票しないことを選択したMKR有権者の代理人として機能します。コミュニティ・メンバーなら誰でも、プロトコルに対する自身の展望と重要な課題に関して何に投票するかを表明し、代理人として立候補することができます。その後、MKR有権者は自身のトークンを使って(自身のMKRの管理権を放棄することなく)代理人に投票することができます。

MKR有権者から投票権が譲渡された結果、人気のある代理人は大きな影響力を持つようになる一方で、そこまで人気を得られなかった代理人の影響力は小さくなるでしょう。さらに、MKR有権者はいつでも代理人支持を撤回し、他の代理人を支持することができます。要するに、代理人によってMKR有権者は、自身の意見が確実に聞いてもらえる簡単で効果的な方法を得ることができます。 代理人の導入によって投票率が上がり、コミュニティのMIP活用を促進するために重要なものになるはずです。

特筆すべきことは、代理人であるかどうかにかかわらず、全てのMKR有権者は、プロトコルの管理を続けるために必要不可欠な情報全てにアクセスできるということです。MIPは公開されていて透明性が高く、そしてコミュニティ主導です。ガバナンスおよびコミュニティコールはすべての人に対して公開されていて、Makerプロトコルの技術的ドキュメンテーションも既に公表されています。そのため、Maker有権者とMakerエコシステムの全ての参加者の間で情報に関する不平等性はこれからも存在しません。

結果:ガバナンス・パラダイムの完全実現

最初のガバナンス・パラダイムは、Maker Foundationがコミュニティからの意見を受け、提案および起草した最初のMIPとEPCの役割の分類です。パラダイムは、Foundationの解散前に全ての重要要素を確実に網羅することを目的とし、DAOの適切な機能、セキュリティの維持、および将来の飛躍的成長を手助けします。コミュニティ・メンバーと代理人は、ガバナンス・パラダイムに記載されているツール全てを試し、実践的経験と有益なコミュニケーションスキルを身につけることができ、それらを自主的に使えるようになります。

真のDAOへの道のり

MakerDAOは、最終的にはコミュニティ・メンバーによるコミュニティ・メンバーのための完全なる分散型自律的組織(Decentralized Autonomous Organization; DAO)になることを目標に立ち上げられました。重要なことは、プロトコルのローンチと時間をかけた改良が成功するために、Maker Foundationが多くの中核的開発およびガバナンス・プロセスを導いてきたということです。

投票コミュニティがMakerガバナンスの基本原則を支持してくれたおかげで、Foundationは数年にわたって段階的分散化のプロセスを採用することができました。2019年12月、Foundationは、当時設立されたばかりの独立した非営利組織Dai FoundationにMakerとDaiの商標ポートフォリオを移行しました。その直前にも、Foundationは、プロトコルのガバナンストークンであるMakerトークンの管理権をスマートコントラクトと、つまりガバナンス・コミュニティと共有することを発表しました。そして、自律的DAOに向けた最新かつ最重要なステップとして、MKRトークンの管理権全てをFoundationから投票コミュニティへ移行しました。

プロトコルにはあなたが必要です!

完全な分散化がMakerの目標において最重要であるのには、きちんとした理由があります。ユーザーに完全な経済的自由を与えるのに必要な信頼と透明性を提供することが、絶対的に不可欠です。誰でもどこにいても、使用そして管理できる安定した公平な通貨としてDaiが成功し続けるためには、Makerプロトコルは共同で所有および管理される自律的なものにならなければなりません。

分散化によって、プロトコルのスマートコントラクトとDaiの米ドルへのソフトペッグを維持している経済的アクターのネットワークが支えられ、単一障害点と中央集権的干渉が取り除かれます。また重要なことに、 分散化のおかげでエコシステムをこれからも有効的に使用し続けることができ、資金調達と発展のための持続可能なモデルを作り出すことができます。結局のところ、分散化がDeFiの恩恵、つまり低コストであり全ての人が障壁なしに金融サービスにアクセスできることを実現する唯一の方法なのです。

Maker有権者であるまたはMaker有権者になることを考えている場合は、有権者オンボーディング・ガイドガバナンスとリスクの概要Awesome MakerDAOからご覧ください。


2020年4月15日