DeFiコミュニティの学習・関与方法
July 7, 2021
スマートコントラクトを使用し、透明性および改ざん耐性を提供している分散型プラットフォーム、イーサリアムでは、誰でも簡単に新しいブロックチェーン・トークンを作成できます。使い勝手の良いアプリにより、このプロセスは自動化されているため、スマートコントラクトの知識は必要ありません。その結果、イーサリアムには様々な用途のために開発されたトークンが、何千と存在しています。しかしこのようなトークンの大部分は、片手で数えられるほどしかない、大まかなカテゴリーに分類可能です。分散型金融エコシステム内にある、このようなカテゴリーおよびトークンの種類を理解しておくことにより、DeFiエコシステムへの関与が容易になるでしょう。
暗号学的トークンや暗号通貨トークンとしても知られているイーサリアム・ブロックチェーンのトークンとは、イーサリアム・ブロックチェーン上に構築されている、転送可能なデジタル資産です。イーサリアム・ブロックチェーンは、多数のデジタル資産を抱えており、ブロックチェーン・エクスプローラーおよび分析サイトであるEtherscan.ioには、一般的によく利用されているERC20トークン規格に基づいたものだけでも、900のプロジェクトが掲載されています。これらは全て同じオープン標準に基づいて構築されているため、イーサリアム基盤の分散型アプリケーション(dapp)やDeFiプロトコルへ容易に統合可能です。
約40万のERC20トークン・コントラクトがイーサリアム・ネットワーク上にありますが、「ネイティブ」トークンとして機能しているのは、Ether(ETH)ただ一つのみです。ETHは、イーサリアム・ネットワークにて、ブロックチェーンにブロックを追加したマイナーに対する報酬として生成されています。ETHは、全てのトランザクションに必要なガス代の支払いに使用されているため、イーサリアム・プラットフォームには不可欠となっています。
Etherscanでは、主要なERC20トークンの重要情報を提供しています。
トークンの種類によりユーザーの使用方法が異なり、各トークンの種類は、DeFiエコシステム全体が適切に機能および発展していけるよう、独自の役割を果たしています。
20年2月にこのブログでは、当時存在していた様々な種類の暗号通貨トークンについて紹介しました。当時のDeFiムーブメントは非常に小規模で、かろうじて10億ドル(今日のTVLの1%)が、複数のプロトコルにロックされていた程度でした。その後、流動性提供者トークンを含む新たなDeFiトレンドや様々なトークンの種類が出現し、発展し続ける市場のニーズに応えるように、いくつかの特定分野が誕生しました。それとは対照的に、ユーティリティ・トークンの人気は衰えてきました。ユーティリティ・トークンは今でも存在していますが、UniswapのようなDeFiサービスを利用する際に、大概の場合、必ずしも異なるユーティリティ・トークンを保有する必要がなくなりました。
現在、DeFiユーザーが利用する可能性の高いトークンの主要な種類が、5つあります。
トランザクション用トークンは、DeFiにおいて3つの機能を果たしています。決済手段、価値貯蔵および価値尺度です。USDC、TUSDおよびDaiを含む、米ドルと連動しているステーブルコインは、トランザクション用トークンであると言えます。WBTCやRenBTCなど、ビットコインに1:1で裏付けられている資産もまた、トランザクション用トークンです。
ガバナンス・トークンによりコミュニティは、自身の力を、分散型のブロックチェーン・プロジェクト、またはガバナンス・トークンを発行するDAO(自律分散型組織/Decentralized Autonomous Organization)のサポートに活用できます。例えば、Compound Financeのガバナンス・トークンであるCOMPの保有者は、ブロックチェーン基盤の投票を介し、組織の集団的意思決定に関与できます1。Yearn Financeのガバナンス・トークンであるYFIの保有者も、同様のことを、Yearnで行えます。
ガバナンス・トークンは、コミュニティへの直接販売やユーザーへのエアドロップ、DeFiプロトコルへの流動性提供の報酬としてなど、様々な方法で配布されています。また、中央集権型および分散型暗号通貨取引所などの二次流通市場でも、誰でも購入可能です。
Makerプロトコルのアップデートは全て、コミュニティ・ガバナンスを通じて決定されます。
ユーティリティ・トークンは、現地通貨のように機能しているとも言えるでしょう。各ユーティリティ・トークンは、特定のアプリ内で決済に利用されています。例えば、Basic Attention Token(BAT)は、Braveブラウザの開発者により作成され、広告購入、およびブラウザ上でそのような広告を視聴したオーディエンスへの支払いに利用されています。パブリッシャーおよびクリエイターは、自身のサイトに掲載された広告収入の一部を(BATの形で)、報酬として受け取ることができます。ユーザーはまた、気に入ったコンテンツをアップロードしてくれたお礼として、パブリッシャーへBATでチップを渡すことができます2。
DeFi領域で利用可能な多くの流動性から利益を享受する方法を、DeFi愛好家が見つけるようになると同時に、流動性提供(LP; Liquidity Provider)トークンもより重要かつ、広く利用されるようになってきました。LPトークンは、証明書のように機能しており、流動性提供者が分散型取引所の一種である自動マーケットメーカー(AMM; Automated Market Maker)の流動性プールにロックしたデジタル資産を回収する際に利用されます。このような流動性提供者は、彼らがロックした資産に対してトレードを行なったユーザーから、取引手数料をもらうことで利益を得ています。AMMは、資産取引に対して使い勝手の良いアプローチをとることにより、DeFi領域で人気となりました。
流動性提供者がプールに自身の資産をロックした場合、彼らは、自身がそのプールで所有している割合と同量のLPトークンを受け取ることができます。例えば、Aさんが1ETHおよび4,000DaiをETH/DAIの流動性プールに提供したとします。Aさんはこのプールの最初の流動性提供者です。この時Aさんは、プールのシェアの100%を表している、1LPトークンを受け取ることになります。ここにBさんが加わり、2ETHおよび8,000 Daiを同様のプールにロックしたとします。そうするとBさんは、Aさんの2倍のシェアを有しているため、2LPトークンを受け取ります。この時各LPトークンは、プールの1/3、つまり33.3%を表しています。
LPトークンは、資金が流動性プールへ追加された際に送付されます。
流動性提供者は、LPトークンを使用し、いつでも預け入れた資産を回収できます。また、LPトークンを担保として使用できるDeFi dappもあります3。そのためLPトークンは、DeFiエコシステム内での流動性移行で、重要な役割を果たしています。
NFT(non-fungible token/非代替性トークン)とは、単一のデジタルまたは物理的アイテムの所有権を表している、唯一無二かつ分割不可能なトークンです。NFTは、デジタルアートおよびコレクティブルシーンで勢いを増し、徐々にDeFiアプリにも統合されるようになってきました。
イーサリアムのオープンなインフラ、共通規格、および構成可能性のおかげで 、ブロックチェーン・トークンの種類が異なっていても、いつでも分散型アプリおよびプロトコルに接続可能となっています。DeFi領域が拡大し続けていくにつれ、新たなユースケースが誕生し、さらなるトークンのカテゴリーが生まれるかもしれません。
DeFiがどのように金融サービスの様相を変化させているかについて学ぶには、www.MakerDAO.comをご覧ください。