Liquidation2.0のアップグレードに関するエグゼクティブ投票が開始

April 21, 2021

4月19日、Daiの安定性確保を目的とした、Makerプロトコル清算システムへのアップグレード提案、MIP45が、エグゼクティブ提案としてMakerガバナンスポータルに掲載されました。Maker有権者は、Liquidation2.0起動の可否に投票できます。Liquidation2.0が投票により導入された場合、システムの効率が向上し、コミュニティメンバーが、オークション・キーパー(Keeper)・ソフトウェアやその他の従来のインターフェースを介し、担保オークションに参加する機会が、増えることになります。

今回のアップグレードは、一年間におよぶ努力、およびコミュニティからの多大なフィードバックおよびサポートにより可能になりました。重要なことに、Makerが完全な分散化へ邁進していく中で、Foundationチームが主要な技術的および機能的貢献をDAOへ提供するのは、このアップグレードで最後となります。

以下では、新規清算システムの重要性および利点をまとめ、コミュニティがどのように公式ローンチに向け準備していくべきかを述べています。投票が承認され、Liquidation2.0がリリースされた場合、このブログにてシステムの大まかな概要についての記事が公開されます。

新たなLiquidation 2.0—シンプル、効率的、そして頑丈

MakerプロトコルのLiquidationシステムでは、Maker Vaultを介して発行された全てのDaiが、十分に担保に裏付けられていることが保証されており、これによりDaiは、米ドルとのソフトペッグを維持しています。Vault内の担保資産の価値が、その資産タイプに必要な最低限の清算率を下回った場合、当該Vaultは清算され、債務および清算ペナルティの両方を賄うために、Vaultの担保はオークションにかけられます。

現在の清算システムは、複数担保型Daiのローンチ以来Makerプロトコルで使用されていますが、その間多くの変化があったため、Dai発行量の増加とともに、Makerのオークション・システムも拡大できるよう、改善する必要がありました。例えば昨年、多くの担保資産がプロトコルに追加され、Daiの流通量が200倍以上に増加しました。過去のアップグレード(Liquidation 1.1および1.2)では、いくつかの改善がもたらされましたが、Liquidation 2.0では、制限が取り除かれ、クオリティが進歩する予定です。さらに、おそらく最も重要なことに、Liquidation 2.0へのシステム・アップグレードでは、MakerDAOコミュニティ、ひいては広範囲のDeFiエコシステムの新たなニーズおよび関心が反映されています。

機能面では、この新規清算システムにより、より高度なセキュリティ、予測可能性、および分散性が提供され、MakerコミュニティおよびDeFi分野全体からの参加がさらに促進されます。

概してLiquidation 2.0では、以下のことが行われます。

  • より予測可能かつ安全に。複数の信頼ある組織が、新たに設計された清算システムを監査。
  • DeFiエコシステムを強化する環境を実現
  • 簡単でコストの低い、より柔軟な参加を可能に。

技術面では、このシステム・アップグレードにより、現在のプロトコルおよびDaiの普及レベルに必要な規模での清算を、効率的に処理できるようになります。主要な変更点には以下が含まれています。

  • 新規オークションモデル:ダッチ・オークション・モデルに代わり、開始時の提示価格が高く、時間とともに確定的に価格が減少するイングリッシュ・モデルを採用。
  • 部分的入札の受け入れ:50,000Daiロット単位でのVault担保の購入、(または規模の小さい複数Vaultの一括購入)が不要に。新規システムでは、単一または複数の入札者が提示価格で担保購入可能。
  • フラッシュローンのサポート:よりオープンかつ資本効率の良い参加が可能に。
  • DEXおよびアグリゲーター統合の可能性:入札者同士の競争が促進され、市場の流動性へアクセス増加。

If voted in, the Liquidations System 2.0 upgrade will feature a new Dutch auction model.
Liquidation 2.0では、担保が売却されるまで入札額が減少します。

システムの全体像については、Liquidation 2.0モジュール・ドキュメンテーションをご覧ください。

アップグレードへ向けた予習

コミュニティがLiquidation 2.0のリリースを承認した場合、キーパーを稼働している方、DeFiプラットフォームまたはDEXを運営する開発者もしくはエンジニア、またはオークションに参加したいDai保有者は、以下を知っておく必要があります。

キーパー向け情報

Liquidation 2.0では、現在のシステムが全面的に見直されているため、キーパーを稼働している人は、担保オークションへ今後も参加したい場合、ソフトウェアをアップデートする必要があります。以下のリンクがアップグレード準備に役立つでしょう。

Liquidation 2.0ではまた、Daiおよび担保が必要なく、トランザクションを実行するのに十分なETHがあれば良いため、キーパーがウォレットに保有すべき資金額も少なくなっています。

MetaMaskウォレットユーザーが予期すべきこと

Liquidation 2.0では、ユーザーが担保オークションへ簡単に参加できるようになることに、焦点が置かれています。スマートコントラクト・チームは、ユーザーがMetaMaskを利用して入札できるようなインターフェースをリリースする予定です。それに加えMetaMaskユーザーは、最終的には、Liquidation 2.0システムをフロントエンドへ統合したDEXやアグリゲータへもアクセスできるようになります。

DeFi分野の拡大するニーズに応える

Liquidation 2.0により、Makerプロトコルの効率的な規模拡大が可能になり、MakerDAOは、DeFi分野で高まるDaiの需要に対応できるようになります。

提案に投票する前に、まずはMIP45およびMakerフォーラムでの清算に関する議論を読み、Liquidation 2.0について学んでみましょう。キーパー稼働について学びたい方は、Auction-Demo-Keeper documentationをご覧になってください。

April 21, 2021