Maker Foundation理事新規メンバー、サンディ・カンドの紹介

2020年9月16日

8月10日、Maker Foundation理事会は、Ticketmasterのブロックチェーン商品部門副代表サンディ・カンドを、Foundationの非常勤理事に任命しました。サンディは、4月に任命されたトーニャ・M・エヴァンズ(理事長)およびシェファリ・ロイ、Foundation取締役ルーン・クリステンセン(CEO)およびスティーブン・ベッカー(COO)、ならびにケイマン諸島理事エドゥアルド・シルバおよびデイヴィッド・ヴァン・ドゥインホーベンに加わりました。

サンディは、ブロックチェーンおよび理事の幅広い経験を持つ連続起業家です。Foundationの首脳陣が日々の運営に焦点を当てる一方、理事会がFoundationの戦略的および財務的方向性を監督するという権限を全うするにあたって、彼は非常に貴重な存在です。

Makerは先日、サンディと直接話し合いの機会を設け、彼の経歴、関心事項、ならびにMakerDAOおよびDaiの成功に貢献する機会が持つ意味について聞いてみました。

Maker:NASAの衛星のデータ送信システム設計から、自身のキャリアを始められたのですね。その後、Microsoft、Intel, Time Warnerを経て、スマートコントラクトを活用して従来のイベントチケットをデジタル資産に変換するシステム、UPGRADEDを設立されました。その後3年も経たないうちに、UPGRADEDはTicketmasterに買収されました。自身の興味や専門分野に一貫した特徴はありますか?

サンディ・カンド(以下SK):多くの人と同じように、私はワクワクするような新しいテクノロジーのファンです。しかし、私に特徴的なのは、日常生活で人々の行動を根本的に変えるテクノロジーの、実用的応用に焦点を当ててきたことだと思います。エンジニアリングの知識のおかげで、テクノロジーの驚異を感じることができる一方、MBAは商業的側面の考察に役立っています。このバランスを保てていることは、常に誇らしく思っています。

Lockheed Martinでは、今ではおなじみのGPSおよびディレクTVの業務に携わっていました。25年前は、小さな衛星放送受信アンテナから何百ものテレビチャンネルを受信することも、携帯にマッピングデバイスを埋め込む可能性も、馬鹿げているように思われていました。今日、このようなテクノロジーは広く普及し、私たちの生活には不可欠となっています。

Intelでは、ペンティアムのマイクロプロセッサのチップセットに携わっていました。チップセットは、PCおよびインターネットの急速な普及に、重要な役割を果たしました。Microsoftでは、.NETを世に認知させる機会を与えてもらい、最終的にはオープンソースの促進を行いました。

最新の仕事では、スポーツ科学およびスタジアムでの経験を活かして、ブロックチェーン技術のイベントチケットへの応用に関わってきました。そしてこれが、私が過去5年間関心を寄せてきたことです。

Sandy Khaund is a non-Executive Director of the Maker Foundation Board

MakerDAOの素晴らしいエンジニアリングおよび実装、効率性、ならびにDaiの米ドルへのペッグという安定性を重視しているという点は、とても魅力的です。Daiは、グローバルな金融市場で重要なツールとして実用的に応用されているため、私が今まで関わってきた中で最も影響力のあるプロダクトかもしれないと思っています。

Maker:ブロックチェーン技術に初めて出会ったのはいつですか?そして、その可能性に気づいていましたか?

SK:7年前くらいだったと思います。あるビットコイン関係の会社のCTOに誘われました。 ビットコインについて大まかには理解していましたが、面接の前に少しリサーチする必要がありました。ある本を読んで、「これがうまくいったら、本当に世界が変えられるかもしれない」と思ったのを覚えています。結局その仕事はもらえなかったのですが、ビットコインを買ってみました。なので、もらえなかった仕事の中で、最も利益を生み出した仕事だと言えるでしょう。

その何年か後に、ブロックチェーンが二重支払い問題に対処している方法に注目し、これは偽チケット問題を解決できるかもしれないと思いました。何十億ドルものお金を保護するのにブロックチェーン技術を利用できるなら、フーファイターズのコンサートのチケット取扱いにも、確かに利用できるはずです。これに気づけたことでUPGRADEDに拍車がかかり、私の人生が変わりました。

Maker: Makerプロトコルも含めたブロックチェーン技術の普及において、最も重要な課題は何だと思いますか?また、伝統が重んじられる世界は、グローバル経済に金融の安定性と透明性をもたらすために設計されたシステムに対して、どのくらい準備が整っていると思いますか?

SK:暗号通貨に関していくつか懸念すべき問題があります。特に、おかしいほどのボラティリティを持つ暗号通貨が、取引通貨としてどれほど真剣に受け入れられるかという問題や、私が「チューリップ問題」と呼ぶ問題があります。チューリップ問題とは、それを裏付けるものが何もないため、あるトークンの価値を合理的でないと言う人がいることです(17世紀のチューリップブームと同様の事象)。しかしMakerDAOのホワイトペーパーを読み、Makerプロトコルは暗号通貨の多くの恩恵を提供したまま、いくつかの重要な問題を解決したことに気づきました。

とはいえ、私がUPGRADEDで抱えていた最大の課題の一つが、純粋さよりも実用性を重視し、多くの純粋主義者を失望させてしまったことです。業界の主要な意思決定者は、ICOおよびトークンの組み込みをやってほしいと思っていなかったにもかかわらず、数えきれないの人が、私がそれをやることを望んでいました。結局私は、最初の基本前提に忠実でいることよりも、テクノロジーの採用を懸念し、専門家と呼ばれる人々を無視しました。MakerDAOチームは、分散化金融に対して同じような実用的なアプローチを取っていると思います。これこそが、MakerDAOが人気を博し、これからも勢いを増していくであろう理由だと思います。

Maker:オープンソースが支配者層に受け入れられていなかった2000年代前半に、Microsoftでオープンソース・テクノロジーを推進していましたね。この経験から何を学びましたか?また、このことは、DeFiの将来を形作るサポートをするという現在のタスクへのアプローチ方法に、何か影響を与えていますか?

SK:この世界は、オープンソース・ソフトウェアの恩をたくさん受けています。しかし、初期はたくさんの人が誤解をしていました。私は、変化に影響を及ぼし、最終的にはMicrosoftの消費者が恩恵を受けられるように、主に教育、およびオープンソースの利点の宣伝に取り組みました。私たちは、開発者コミュニティと密接に関わり、内部および外部の支援者を啓発し、その理念を支持しました。しかし、Microsoftでオープンソースが全面的に受け入れられるようになったのは、何年も経ってからでした。Microsoftのクラウドサービスは、LinuxからNodeJSに至るまで、全てを活用しています。彼らは、GitHubまでも買収しました。Githubは、私がMicrosoft時代に共同設立したオープンソースサイトCodePlexのようなもので、より広く普及しています。

何の反発もなく重要な変革が起こることは滅多にないので、抵抗は避けられませんでした。歴史の弧は正義に向かって伸びていると言われます。私は、テクノロジーの弧は最適解に向かって伸びている、と信じています。結局これがオープンソースで起こったことであり、同様のことがDeFiでも起きるだろうと確信しています。DeFiとは、素晴らしいプロダクトを作り、人々を教育し、有意義な方法でコミュニティを発展させることです。MakerDAOチームは、それを理解しています。私の目標は、Makerチームがこの使命を継続する手助けをすることです。

Maker: カリフォルニアを拠点とした、女性向けのテクノロジー教育プロジェクト、Women's Audio MissionとInventors Universityのボランティア的立場に関わっていますね。なぜ、そしてどのように、これら機関に力添えをすることにしたのですか?

SK:エンジニアとコンピュータ科学が未来を形成しています。STEM(科学・技術・工学・数学)分野に男女平等問題がある限り、社会の発展は止まったままです。例えば現在、音楽制作やレコーディングアート分野で働いている女性は、5%未満です。音響工学から技術分野に参入したい女性、特に白人以外の女性をサポートすることで、私たちはより多様でより良い世界を作り出せます。

Women's Audio Missionは、16年前からある組織です。Women's Audio Missionは、サンフランシスコ・ベイエリアに位置し、若い女性に実践的な音響工学訓練、キャリアコンサルティングおよび実務経験を提供し、音楽、ラジオ、映画およびウェブ業界での就職斡旋を行っています。私は理事メンバーでいられることを光栄に思い、この組織の素晴らしい業績を恐縮ながら嬉しく思います。

Inventors Universityは、2017年当時11歳と8歳だった二人の娘と共同で設立した、個人的な取り組みです。Investor Universityも、STEMでの男女平等を目標にしていますが、ちょっとした仕掛けがあります。私の娘が教えているのです。私は、娘たちに、彼女たちほど幸運ではない人々について学び、共感してもらいたかったのです。私は、娘たちに、助けが必要な人々のために奉仕してほしいと思いました。この学校は、低所得家庭の8人の女の子からスタートしました。女の子たちにはそれぞれ、Raspberry Piが手渡され、彼女たちにコンピュータは消費ではなく、生産の道具になることを教えました。女の子たちは、最初の3ヶ月間の毎週土曜日に図書館に集まり、数時間にわたって楽しいコーティング・プロジェクトに夢中になりました。 長女はPythonを、次女はScratchと呼ばれるMITのビジュアル言語を教え、昨年3-Dモデリングに移りました。私の妻も深く関わっています。残念ながら、コロナウイルスによって2020年の計画は無駄になってしまいました。

Maker:4月に「I usually save the good scotch for especially great days and especially hard days.」(私は普段、特に良かった日、特に頑張った日のために、いいスコッチウィスキーを取っておいています。)とツイートしていましたが、最後にマッカランを開けたのはいつですか?そして、その理由は何ですか?

SK:この質問は大好きです。6月後半に、素晴らしい日を称えるために開けました。私はちょうど、パンデミックの中で有能な大学生起業家のチャンスを見つける取り組みである、Weiji Summer Foundryの最初のセッションを完了したところでした。私は、4月に自分の母校であるコーネル大学で、ブロックチェーン技術および起業についてスピーチを行う予定でした。しかし、コロナウイルスによってこの計画は中止になりました。私はがっかりしていましたが、生徒たちの方がより失望していました。彼らの多くは、インターンが取り消されました。私は、彼らを助け、彼らが夏の間、自身のビジネスをスタートさせるのに十分なお金を、一部の学生に与えたいと思っていました。このようにして、Weijiが生まれました。

何十人もの学生が応募し、最終的には5つのビジネスで6人の卓越した起業家が残りました。彼らのうちの半分は女性、半分は黒人、半分は移民です。私たちは毎週日曜の朝に会い、私が、シラキュース大学のニューハウススクール時代の親友ショーン・ブラナガン、そして私の次女と一緒に作ったプログラムを追いました。私たちは、20代でビジネスをスタートさせたゲストスピーカーを迎え、1対1の指導セッションを行いました。これは、とてもやりがいのある経験でした。

私は、成功は野心の敵になるかもしれないといつも心配しているので、自画自賛する必要性を感じることはあまりありません。しかし、このツイートの日の夜は、15年もののマッカランをグラスに注ぎ、とりわけこのように世界が困難な時期に、自分がやり遂げたことを称賛しました。

Maker: 25年もの間、走ることに熱中しているそうですね。どのくらい走るのですか?また、お気に入りのランニングアプリはありますか?

SK:週に2、3回、10キロ走ります。もうランナーの体型ではないので、以前ほど速くは走れませんが、距離をこなすことはでき、おかげで健康を維持できています。14年間Nike+を使っていて、11,000マイル(約17,703キロ)に近づいてきました。パンデミック中は、ランニングによって健全さを保ち、スクリーンから離れた時間を確保しています。

Maker Foundation理事会について

Maker Foundation理事会は、日常的にFoundation首脳陣の戦略的目標達成に関する進捗状況を確認し、Foundationの戦略的および財務的方向性を適切に監督します。理事会はまた、オープンソース・プロジェクトの運営および金融包括プログラムの実施または運営の専門知識を持つアドバイザーや明確なビジョンを持った人を募集し、業務をサポートしてもらう可能性もあります。

MakerDAOおよびDaiについて

Maker Foundationは教育的かつ有益なコンテンツを、Makerブログおよびソーシャルメディア・チャンネルで公開しています。MakerDAOフォーラムは、草の根コミュニティの資料および活動の主なハブであり、MakerプロトコルおよびMakerガバナンスに関する詳細なディスカッションの出発点です。

2020年9月16日